安倍靖国参拝後の、グローバルエリートの役割 グローバルエリートとローカルエリートの違いとは

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衆愚メディアにクオリティメディアは立ち向かえるか

現在、とにかく相手国の視点を取り入れることが非国民扱いされ、近隣諸国に対する下品な言葉でデマと偏見を垂れ流すことが愛国的と称賛される「低劣なメディア人」が急増している。悪貨は良貨を駆逐するとはよくいったもので、そのような弱い人間が欲しがる「他国を貶めるファンタジーで相対的優位感の錯覚を味わわせてくれる自慰的コンテンツ」に限って、ベストセラーとしてもてはやされるのだからやりきれない。

ここからは、ベストセラーといっても『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』のような上質なグローバルなコンテンツで読者の世界を楽しく広げて前向きにしてくれる名著(スミマセン)と、単に衆愚的な煽情性で「他国をこき下ろして悦に浸りたい」という人の弱さに付け込んで売れているだけの駄作という2種類があることがわかる。

インターネットにより、どのような人物でも情報を発信できるようになったため、情報インフラの発達に比例して、学術的にも人脈的にもバックグラウンド的にも信頼性ゼロの人物がまき散らす、差別・偏見・デマがネットで拡散していている。

また、人間とはつねに利己的で偏見にまみれていて、正義や真実より社会の同調圧力に逆らうことは、しばしば難しい。

しかし、東洋経済オンラインのようなクオリティメディアは、恣意的なスポットライトによる一点照射ではなく、蛍光灯、いや、LED照明によって双方の視点で見た問題全体を照らすような、もっといえば政治家や衆愚メディアが押し付ける無知と偏見の暗闇から読者を解放するような、知的に指導的な役割を果たす社会の番人として、メディアの高潔な使命を全うしてくれることだろう。

女子高校生から届いたメール

さて、それでは低俗な政治屋やマスコミ、三流評論家の手のひらで踊らないためには、どうしたらいいのか。そのヒントとなる事例として、最近とある高校生からもらったメールを紹介しよう。

以下、とある女子高生からのメール引用

 「ムーギーさん、現在、日本韓国両国において反韓、反日感情が高まっているのは言うまでもありません。両国の友好関係は将来、世界アジア地域における平和を実現するためには不可欠といえるでしょう。しかし、韓国では政府による反日教育が義務化され、反日デモへの参加が成績の習得や就職に有利になってきているありさまです。そして、日本でもこのような報道を聞き、ヘイトスピーチなどの在日韓国人への偏見が蔓延しています。
 この状況に対し、私は 大学生、高校生のためのアジア会議を行いたいのです。国内の情報だけなく自分たちで相手国の大学生、高校生と話し合い、協調していく。 お互いの言い分を聞く。それこそが真の教育、国際交流ではないのでしょうか。 未来を作るのは大学生、高校生の世代です。世界とアジアの平和のためにアジア会議for youngという場をつくりたいと考えました。
 ムーギーさんには韓国の方で、この案に賛同していただける方を紹介して仲介していただきたいのです。 最終的には彼らと私たちでまず、セッションをしたいと考えました。実現可能ならば来年の5月ごろをメドにしています。 しかし、私には知識も人脈も何もありません。お力添えをいただけないでしょうか?」
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