「教えない」先生がこれから増えていく理由

EdTechが「教室」と「先生」の役割を変える

「EdTech」が浸透していき、学習アプリが子どもたちに勉強を教えるようになったら、先生という「職業」は必要なくなってしまうのでしょうか?(写真:ocsa/PIXTA)
テクノロジーを使うことで生徒それぞれのペースや理解度に応じた学習が可能となることから、近年「EdTech(教育×テクノロジー)」分野に注目が集まっています。子どもに勉強を教えるアプリも次々と登場しています。アプリが勉強を教えてくれるなら、「先生」や「教室」は必要なくなるのかといえば、そんなことはありません。ただし、その役割は確実に変わりつつあります。
EdTechが普及したとき、「教室」や「先生」の役割はどのように変わるのか。そろばん教室にテクノロジーを取り入れ、5~8歳の子どもたちを対象にアプリを使った暗算習得プログラムを提供している山内千佳氏の著書『5歳からはじめる 世界で羽ばたく計算力の伸ばし方』の内容を一部抜粋し、再構成してお届けします。

EdTechに対する誤解

くまのぬいぐるみ397円、サッカーボール315円、つみき942円。教室前方のスクリーンに映し出されたおもちゃのなかから、小学4年生の女の子が3つ選んで、画面左下にあるカゴのなかに入れました。

「1654円!」

すぐさま、みんなが声を上げる。画面に表示される「おかいあげ!」の文字。

「やった! 買えた」

先生が喜ぶ。子どもたちも得意げです。

これは東京にある学習塾での一幕です。この学習塾では現在、子どもたちの暗算力を効率的に伸ばすために、そろばんをベースに独自に開発したタブレットを用いた学習アプリを採り入れた教育に取り組んでいます。

アプリで効果的な学習が完結するのであれば、子どもたちは教室に足を運ぶ必要はありません。しかし、ここでは今でも教室での教育を続けています。それには理由があります。

「子どもに合った効果的な学習」をうたうアプリが数多く登場すると、「学習アプリに任せておけば安心」と思ってしまいがちです。しかし、それは大きな誤解です。アプリを採り入れてもなお、「教室」や「先生」の必要性は変わりません。ただし、EdTechの登場によって、それらの役割が変わってきています。

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