「携帯料金の滞納」で結婚や就職が不利になる日

中国で普及「信用スコア」は日本でも広がるか

中国では、信用スコアが広く浸透するにつれて、活用シーンも大きな広がりを見せている。

例えば、9000万人以上のユーザーが登録している大手婚活サイトの「百合網」では、ユーザーが同意すれば、プロフィール欄に信用スコアが表示される。女性は相手の信用スコアの数値を重視する傾向が強いと言われており、低スコアの男性は結婚が遠のく恐れがある。

また、企業のリクルーティング活動や住宅の賃貸契約などでも芝麻信用が参照されるケースが増えており、日常生活だけでなく、就職・結婚・引っ越しなどの人生における大イベントでも信用スコアの数値がモノを言う社会になりつつある。

なぜ、中国で信用スコアがここまで浸透したかというと、偽物を製造し販売するような悪行が横行し、もともと「信用」に乏しい社会事情がある。日本の内閣に相当する中国国務院は、2014年に「社会信用システム構築計画の概要に関する国務院通告(2014~2020年)」を発表しており、政策として「2020年をめどに社会信用体系の確立」を目指すことを掲げているほどだ。

また、中国ではアメリカや日本と異なり、クレジットカードも普及しておらず、消費者の信用を測る有効な手段がない。例えば、1人当たりのクレジットカードの保有枚数は、アメリカが3.1枚、日本が2.0枚、中国は0.3枚。クレジットカードより先に、アリペイが普及した結果、国民の消費行動はアリペイ経由ですべてデータ化される。

アリババグループ傘下のシェアリングサービスなど他サービスの利用状況のほか、学歴や公共料金の支払い記録など政府が保有するデータも合わせてAIで分析することで、信頼に値する信用スコアができ上がったのである。

信用スコアは日本で普及するか

翻って、日本の場合はどうか。中国と異なり、クレジットカードが普及しているため、支払い履歴をベースとする基本的な信用評価の仕組みはすでに存在している。このため、社会インフラとして、信用スコアが存在しなければならない必然性には乏しい。

J.Scoreのほか、NTTドコモやヤフー、LINE Creditなどが今後展開する、信用スコアも消費者の同意があって初めてスコアが算出される見込みであり、各社のサービスを利用しているからといって、勝手にスコアが算出されるわけではない。

また、J.Scoreでは、提携するワイモバイルの契約情報、支払情報、サービス利用状況やYahoo! JAPANの「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」の利用データとの連携を許可すると、スコアがアップするようになっているが、これも消費者の同意が前提である。

このため、日本で信用スコアが普及するためには、消費者自ら信用スコアを使いたいと思えるような動機付けが必要になる。しかしながら、現状では高スコアの消費者に対する特典は、商品やサービスを無料、あるいは優待価格で提供するといった類のものが多く、すでに広く普及しているポイントカードや会員カードの特典と大差ないように見受けられる。また、個人向け融資サービスにおいて、貸付利率・契約極度額が優遇されるといった特典を除いては、個人の信用度が高いこととの相関も見いだしにくい。

融資は誰もが利用するサービスではないため、現状では、一般消費者が積極的に信用スコアを上げようとするモチベーションにはつながりにくい。また、日本ではホテルの予約時など各種サービスを利用する際に、デポジットを要求されることも多くはない。このため、信用スコアが普及するためには、個人の信用度と親和性の高い、わかりやすい特典が必要になる。

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