グーグル新サービスは「プレステ」を殺すのか? 「STADIA」がソニーや任天堂に与える影響とは
まずゲームを遊べる端末の数が極めて多いこと。普及台数が少ないプラットフォームに投資するゲームスタジオはない。このため新しいゲームプラットフォームへの切り替え時には、ハードウェア普及と魅力的なゲームの開発が進むようさまざまな施策が行われるが、STADIAに特定ハードウェアは必要ない(すでに存在するものでいい)。
次にゲームを配信し、さらにユーザーが料金を支払うための課金システムも、グーグルはGoogle IDという形ですでに持っている。必ずしもクレジットカードは登録されていないかもしれないが、Androidユーザーならばかなりの確率で支払い手段を登録しているはずだ。
さらにゲームを遊ぶプレーヤー同士を結びつけるためのコミュニティーも、グーグルはすでに持っている。それはYouTubeだ。近年のゲームタイトルは、ネット上のコミュニティーを中心にしてヒット作が生まれる。そしてコミュニティーの中心となっているのが、ゲームプレーのライブ配信だ。
STADIAでは、グーグル傘下のYouTubeを通じたゲームプレーの生配信(YouTube Live)を視聴中に、配信されているゲームのプレーを選択すると、同じゲームを5秒程度Chromeブラウザー上で遊ぶことができる。
MMO型ゲーム(大規模マルチプレーヤー)やチームを組んで戦うゲームなど、複数ユーザーが同時プレーするゲームの場合は、視聴中のゲームにそのまま入っていくことが可能だという。ゲーマーコミュニティーから実際のゲームプレーへの動線が極めてシンプルに引けている点は、最も評価される部分だろう。
もちろん、ゲームプラットフォームとして成功するには、優れたゲームタイトルが必要となる。どれだけパートナーを集めることができているか?など未知数な部分はあるが、まったくの新規参入ながら、これだけ条件がそろっているのは見事だ。
5~10年のスパンで事業環境は大きく変化
STADIAが発表されたサンフランシスコの「Game Developers Conference」会場では、実際にSTADIA上で動作するゲームを遊ぶことが可能だそうだ。ネットを通じたプレーとなるため、直接ゲーム機で遊ぶ場合に比べると操作への応答性に違いを感じるという声も多い。ゲームのジャンルによってはプレー感覚が問題となる可能性はある。
また、ゲームタイトルの開発には時間もかかるため、STADIA向けに魅力的なゲームがそろってくるまでには、それなりに時間がかかるだろう。
しかし、短期的な動向を脇において考えるならば、任天堂が発明した“ゲーム専用機”のビジネスモデルは、大きく変化していかざるをえないのではないだろうか。技術的な進歩によってゲームストリーミングサービスの弱点は克服されると考えられるからだ。
端末に近い場所に通信処理を中継する“エッジ”機器の利用が進んできており、実際、グーグルもSTADIAのために、エッジを配備する拠点を200カ国以上、7500拠点に配備すると発表している。
さらに今後数年にわたって通信環境も大きく変わる。
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