グーグル新サービスは「プレステ」を殺すのか? 「STADIA」がソニーや任天堂に与える影響とは
移動通信システムが本格的に5Gへと切り替わる時期になれば、現在は4K解像度(毎秒60フレーム)というSTADIAのグラフィックスもさらに進化し、VRやARデバイス向けの映像が再生可能になっているに違いない。
エッジコンピューティングの進歩、5Gによる高速かつ低遅延の通信、それにVRやARなども含めた多様な端末への対応など、断続的に新しい技術トレンドが加わってくると考えられる。
これから5~10年というスパンでゲーム事業に取り組むのであれば、“特定のハードウェア”へと依存するのではなく、クラウドを通じて柔軟に性能や機能を変えられるほうが、プラットフォームを提供する側にとっても、ゲームを開発する側も好ましい。
今後、5月7日から開催のGoogle I/O(グーグル主催の開発者向け会議)では、STADIAの料金体系やさらなるパートナーの発表が期待される。
ゲーム産業の構造は大きく変化する
さて、STADIAは“プレステ”や“任天堂”を無価値にするのだろうか?
現時点での情報は少なすぎるが、1~2年で大きく状況が変化することはないだろう。しかし、長期的に見た場合、ゲーム産業の構造は大きく変化していくはずだ。ビジネスモデルの点でも、これまでの“売り切り”と“フリープレー+ゲーム内課金”に加え、“サブスクリプション型”が主流になっていく可能性もある。
例えば広告媒体としてのYouTubeからの収入も期待できるなら、ビジネスモデルも変容していく可能性がある。さらには、YouTube Premiumユーザー向けに一部のゲームを無償配信しながら、タイトルによっては「売り切り」「売り切り+ゲーム内課金」「フリープレイ+ゲーム内課金」を組み合わせるなど、サブスクリプション型と売り切り型、それにゲーム内課金を柔軟に組み合わせるといったアイデアもあるはずだ。
そうした柔軟なコンテンツの提供方法に加え、スマートフォンでも、テレビでも、タブレットでも、その時々に遊べる環境が用意され、さらに満足できる品質が担保されるのか。いずれも“時間”が解決していくと考えられる。
ゲーム産業は、市場を下支えしていたカジュアルなゲーマーがスマートフォンなどモバイルアプリへと流れ出たあとも、ゲーム専用機やゲーミングPCは没入感を追求する方向で品質を磨き込むことで(欧米においては)市場を拡大してきた。あるいは任天堂Switchのように、子どもたちに自由な遊びのスタイルをハードウェアとして提供することで、スマートフォンとは異なるゲーム機ならではの市場を形成している例もある。
しかし、STADIAのようなゲームストリーミングサービスの登場が、ゲーム用ハードウェアの市場を奪っていけば、いずれは“特定のハードウェア”を必要とする現在の仕組みを支えきれなくなり、一気に市場ルールは変わるだろう。将来、“クラウド”が唯一の解決策となっていくのであれば、ハードウェアの価値に特化する形でプラットフォームを作ってきたメーカーは、それに太刀打ちすることはできない。
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