広告なしで急成長、「ボタニスト」勝利の方程式 ネット集中型のマーケティング戦略が成功

拡大
縮小

シャンプーやコンディショナーの国内市場は依然として厳しいが、新製品の拡販で乗り切る方針だ。3月13日のマイボタニスト説明会の席上、アイエヌイーの大西社長は「市場が厳しく、顧客ニーズもどんどん多様化している中で、今後のカギとなるのが『パーソナライズ化』だ」と強調した。

専用サイトで9つの質問に答えると、お勧めのシャンプーやコンディショナーが出てくる(撮影:今祥雄)

他方で、ボタニスト以外の成長軸も模索中だ。同社でボタニストに次ぐ第2の柱と考えているのが、「SALONIA(サロニア)」というヘアアイロン。海外売り上げでは、一時期ボタニストを上回ったこともある。「サロニアからも、さまざまな商材をどんどん出していきたい」と、大西社長は意気込む。

AIデータ活用した商品開発も

AIデータを活用した商品開発にも注力する。アイエヌイーは昨年12月に、「KIYOKO(キヨコ)」と呼ぶAI予測システムを独自に開発したと発表した。

キヨコは2000万以上のSNS上にあるビッグデータから、消費者がどのようなことに興味を持ち、どういったトレンドが起きているのかを把握・分析できる。大手メーカーは消費者データの分析を外部の調査会社に委託しているが、アイエヌイーはキヨコを活用し、自社内で短期間に消費者動向を把握することができるというわけだ。AI予測システムを通じて、さらなるヒット製品の投入につなげていく構えだ。

今後は国内のみでなく、中国を中心に海外市場の開拓にも力を注ぐ。ただ、「ボタニストは口コミサイトでの評判が芳しくなかったので、購入する気にならなかった」(40代女性)との声も聞こえてくる。認知度が高まるにつれ、マーケティング戦略だけでなく、製品の質の向上も継続して図ることが求められる。

若泉 もえな 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

わかいずみ もえな / Moena Wakaizumi

東京都出身。2017年に東洋経済新報社に入社。化粧品や日用品、小売り担当などを経て、現在は東洋経済オンライン編集部。大学在学中に台湾に留学、中華エンタメを見るのが趣味。kpopも好き。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT