P&G、日本未上陸のブランド投入で反撃 日本トップのベセラ新社長が明かす秘策

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「日本の消費者の新しいものに対する反応の早さに驚いた」(P&Gジャパンのベセラ新社長、撮影:ヒラオカスタジオ)
世界最大の日用品メーカー、米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の日本拠点で、大胆な人事が繰り出された。
2015年9月。P&Gジャパン(本社・神戸市)は、奥山真司社長が退任する人事を発表。日本でマーケティング部門を長く務めてきた奥山氏は、香りづけ柔軟剤ブームに乗って「レノア」をヒットさせ、初の日本専売ヘアケアブランドを投入するなど、日本市場に特化した戦略で売り上げを伸ばした功労者だ。奥山氏は12月末にP&Gを退社。その前には、奥山氏の前任だった桐山一憲元社長も、10月に社を離れている。P&Gジャパンで二代続いた日本人社長の系譜は、この2人で途切れることになった。
後任として同年9月、米本社から送り込まれたのが、チェコ人のスタニスラブ・ベセラ氏(46)だ。1991年にP&Gに入社したベセラ氏は営業部門を歴任。欧州やシンガポールのほか、直近5年間はヴァイスプレジデントとしてアフリカ市場を担当し、ナイジェリアでは売上高を4倍にも伸ばした辣腕の持ち主。が、日本のような成熟市場に挑戦するのは、初の経験となる。花王やユニ・チャームなど強敵に挟まれ、P&Gの日本におけるトップシェア製品は、衣料用洗剤一つのみ(2015年時点。ユーロモニター調べ)。今後も日本市場は少子高齢化で、パイが拡大することは難しい。
難しい舵取りを求められるベセラ氏。日本で勝ち残るためにとるべき戦略とは何か、直撃した。

未熟な市場も先進国市場も伸ばした

――2代続いた日本人社長に続く就任だが、P&Gの日本戦略に変更はあるのか。

戦略の変更はない。P&Gは非常にグローバルな企業なので、そのときどきに最適な人材が選ばれる。P&Gジャパンは、前二代の日本人社長で成功してきたが、今回はたまたま外国人が選ばれただけ。

私が社長になった理由を自分なりに分析すると、一つ目は、市場の状況によらず、成長のための戦略を立てることができるからだ。売り上げを4倍に伸ばしたナイジェリアは未熟な市場だったと言えるが、2003年からシンガポールで先進国市場を担当した際には、停滞した売り上げを伸ばすことに成功した。

そして二つ目は、マネージャーとして活躍できる人材を、輩出することができるからだ。(P&Gでは)リーダーの責任として、自分以外の人も、リーダーとして育てていくという考え方がある。現在私は2種類の人材育成プログラムを実施している。

一つは講義形式のもの。ちょうど昨日も、「リーダーシップアカデミー」があって、私のリーダーとしての経験を話す機会があった。そしてもう一つが、一対一でのコーチングだ。直属の部下や重要ポストに就いている期待の人材に、面と向かって話す機会を設けたり、働いているところを見せたりする。

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