広告なしで急成長、「ボタニスト」勝利の方程式

ネット集中型のマーケティング戦略が成功

実は、ボタニストのブランドを展開しているのは大手企業ではない。「I-ne(アイエヌイー)」という大阪の心斎橋に本社を構えるベンチャー企業だ。アイエヌイーは立命館大学在籍中に起業した経験を持つ大西洋平社長によって2007年に設立された。同社は現在、eコマース、ドラッグストアなどへの卸、そして海外展開を軸に事業を運営している。

アイエヌイーの大きな特徴の1つが、マス広告を打たないことだ。ヘアケア製品を販売する大手企業の場合、テレビCMを数多く打ち、売り上げ増へとつなげているケースがほとんど。だが、アイエヌイーには、ボタニストの発売当時にマス広告を打てるほどの資金がなかった。

そこで、当初は楽天市場経由の販売に限定。楽天市場のボタニストの商品ページに対し、ABテスト(WebにAとBの2パターンを用意し、どちらが効果的かを実験する手法)をきめ細かく実施した。さらに、インスタグラムやフェイスブックなどSNSサイトにも、消費者に対して影響力のある人物(インフルエンサー)とパートナーシップを結び、そのインフルエンサーに商品を紹介してもらう戦略を展開した。

ボタニストはデジタル広告の勝者

このネットに集中したマーケティング戦略で、顧客は順調に拡大。2016年からはドラッグストアなどリアルの小売店へも本格的に販路を開拓していった。ブランド戦略に詳しい中央大学大学院・戦略経営研究科の田中洋教授は、「ボタニストはデジタル広告を展開して成功したブランド事例の1つだ」と語る。

ボタニストが牽引し、アイエヌイーの売上高は右肩上がりで増えている。売上高は2016年に100億円の大台を突破。現在売上高の約6割をボタニストが占めている。

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