若手が敬遠する「50代後半社員」の独善的な言動 昔の武勇伝やヤンチャ話なんて聞きたくない

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えっ? 「外」ってなんですか? 取引先の名前は書けないのですか? このように、彼らはなんらかの仕事をしている感じはあったものの、残業は極めて少ない。夜になるとその部署だけ誰もいないなか、若者だらけの部署は「てっぺん」(24時)を過ぎても煌々と明かりがつき、ほとんどの席が埋まっているなんてこともあった。

50代中盤以降の先輩社員方は、23歳の新入社員である自分からすれば、最も年上の伯父としゃべっているような感覚があった。いや、しゃべったことはほぼなかった。役員や局長としゃべることはあれど、出世していない50代としゃべることはほぼなかった。

印象の悪い50代

彼らと年が近い30~40代の先輩社員からは、彼らがいかに昔はヤンチャだったかというエピソードや、数々の武勇伝を聞き、それを私に教えてくれた。私は「えぇ? 今のお姿からは想像できませんね!」なんて言ったものだ。だが、そうした過去の栄光を20代前半の若者に振りかざさないところに彼らの美学があったのでは、と思うのだ。退職の日はひっそりと荷物を畳み、いつしかいなくなっていた。

1年目のある日、定年を迎えた人に一応「お疲れ様でした」とあいさつに行ったところ、「中川君は英語とコンピューターが得意なんだって? みんな言ってたよ。これから頑張ってね」と言ってもらえた。いったいどんな仕事をやっていた人かは知らなかったが、少なくともその年の新入社員に関する話題だけは知っていてくれていたのだと思う。

こうして自分が4年間会社にいる間、その「定年間近者用部署」から去る人々から「老害感」は感じなかった。退職後は、茶道を極めようとしている人や、文化人との交流があったことから、その人のマネジメントをする仕事に就いた人もいたと聞いた。

一方、「老害感」を感じたのは、かつては出世レースのトップを走っていたものの失脚した営業担当の57歳ヒラ社員や、かつては部長を務めたOBだった。これは私が退社後、いくつかの企業で電話番のバイトをしたときなどで感じたことである。

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