「管理職が偉い」という、できない組織の勘違い 機能で「役割分担」する組織が強くなる
人口が減少していくこれからの社会で求められるのは、知的生産性の高さです。新しいアイデアを生み出す力です。それを実現するのは、「人と違うこと」を考えられる「尖った人材」しかいません。
プレーヤーとマネジャーはまったく違う仕事です。高校野球に例えるとわかりやすいと思いますが、エースピッチャーや4番バッターがキャプテン(マネジャー)を務めているわけではありません。補欠の選手が、キャプテンを務めている場合もあります。キャプテンにふさわしいのは、豪速球を投げられなくても、ホームランを打てなくてもいいので「皆をまとめるのがうまい選手」であるべきです。
そもそも、プレーヤーをマネジャーにするという考え方自体が間違っています。プレーヤーとして優れている人は、プレーヤーとして扱えばいい。職場の役職は、決して「偉さ」を表すものではなくて、あくまでも「機能」による役割分担にすぎません。
マネジャーの本質は機能の1つでしかない
管理職は、人の管理に適した人がやればいいのです。上位の役職を権力として捉えている人がいますが、プレーヤーとマネジャーの間に上下関係はありません。マネジャーの本質は、1つのファンクション(機能)でしかないと、僕は考えています。
僕は、ライフネット生命の社長と会長を10年にわたって務め、現在はAPUの学長をしていますが、大学の学長とベンチャー企業の社長(会長)は同じだと考えています。なぜなら、どちらもトップとして「目標を定め、優先順位をつけ、財政基盤を強固にし、皆が働きやすい環境をつくる」ための機能を果たしているにすぎないからです。
僕がツイッターやフェイスブックを始めたのも、ライフネット生命時代に、部下から「やりなさい」と指示されたからです。
僕は、当時の部下に対して「大手生保ではできないことをやろう。人とは違うことを考えて実行しよう」と言い続けてきました。すると、開業から3年ほど経ったとき、20代の社員から「出口さん、今日からツイッターをやってください」と指示されました。
僕が、「何で、そんな面倒くさいことをしなければいけないのや」と聞いたら、「調べたところ、保険会社の社長は、まだひとりもツイッターをやっていません。出口さんは、僕らにいつも『人とは違うことをやろう』と言っていますよね。だったら、自らほかの保険会社の社長とは違うことをやってください。出口さんは有言不実行ですか?」と畳み込まれたのです。
「それは確かにそうだな。やるしかないな」と思って、ツイッターを始めました。社長も、会長も1つの機能にすぎないのですから、その機能を果たせばそれでいいわけです。
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