「管理職が偉い」という、できない組織の勘違い 機能で「役割分担」する組織が強くなる

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つまり、「得意・不得意」「向き・不向き」といった部下の適性を見抜いて、正しく人材を配置するのがリーダーの役割です。そこで、僕が考える人材配置の4つのポイントを紹介します。

人材配置のポイント①  部下の適性や意欲を把握する

部下の適性にふさわしい仕事をあてがうのが、マネジメントの要諦です。とはいえ、「キミは何がしたい?」「キミの得意なことは何?」と聞いても、「はい、これです」と答えられる部下は少ないと思います。

したがって上司は、普段から部下とのコミュニケーションを密にして、「何にチャレンジたしたいと思っているのか」「どんなことが得意なのか」を見極める必要があります。

部下の話をよく聞き、適性を見極める

仕事を適切に割り振るためには、まず部下の話をよく聞かなければなりませんが、部下とのコミュニケーションは、基本的に「労働時間内にやるべき」仕事です。時間外にコミュニケーションを取るなど論外です。グローバル企業であれば、絶対に許されないことです。

また、部下の適性について、僕から見ると「向いていない」のに、本人が「向いている」と思い込んでいる場合があります。そのときは一度、やらせてみます。

僕がライフネット生命の社長を務めていたとき、「会社を辞めさせてほしい」と願い出た社員がいました。「いいけど、次はどこへ行くの?」と聞いてみると、「○○をやってみたいと思う」との答えが。僕は内心「向いていないな」と思ったのですが、「チャレンジしたい」という彼の気持ちをくんで、背中を押してやることにしました。

結果はどうなったかというと、退社してから1年も経たないうちに、ライフネット生命に戻ってきました。出戻りです。でも、それでいいと思います。何事もラン&テストです。

いったん外の世界に出た人が戻ってくるのは、その企業にとってチャンスだと思います。なぜなら、自社のことがわかっているうえに、自社と他社の違いも、そして「世の中は甘くない」ということも身を持って経験しているので、貴重な戦力になるからです。

人材配置のポイント②  短所は無視して長所を伸ばす

長所や短所は、その人の個性そのものです。例えば、「自分の意見をはっきり言う」ことを、「他人の目を恐れない」「自分の頭で考えることができる」という長所と見ることもできますし、反対に「協調性がない」「自己中心的すぎる」と短所として捉えることもできます。

長所も短所も、その人の「尖った部分」。人は誰しも、はじめは尖った三角や四角です。それが、人に合わせることを覚えていくうちに、尖った部分がなくなり、丸くなっていきます。

尖った部分を長所と捉えるか、短所と捉えるかは人によって異なりますが、いずれにせよ「尖った部分は削ってはいけない」と僕は考えています。「小さい丸より大きい三角や四角」です。尖った部分を削られた人は、その分だけエネルギーが小さくなるのです。

長所を伸ばして短所を直す、という考え方はまったく現実的ではありません。長所を伸ばすことと、短所を直すことは、まさにトレードオフです。尖った部分を短所だと考えて削ってしまうと、必然的に長所もまったくなくなってしまうのです。

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