モテ感覚が変わった
――誌面でも、やはり「雌」的なものが定番企画なのでしょうか。
12月号もそうですが、「男子にモテるにはどうすればいいか」を扱う企画がよく入ります。このモテ企画、世の中では最近はニーズが落ちたと思われていて、扱う女性誌がかなり減っています。ただ本当は、ニーズがないのではなく、その方向性が変わったのだと思います。
どういうことかというと、広く、たくさんの人にモテたいのではなくなり、ひとりの人に末永くモテたいという感覚。直近では、9月号で「1人モテ」というフレーズを打ち出して、これが非常に支持され、売れました。女性が結婚願望を持つ年齢も、どんどん下がってきていると聞きます。そういう、今の女子のモテ感にマッチした「モテ」が存在するのです。
実際の誌面では、出会いの場面、初デートの場面、さらにはその後、何度かデートを重ねても相手を飽きさせないようになど、(お付き合いの)段階別でファッションやメークを提案しています。あまり興味が持てない人には、しつこいくらいかもしれません(笑)。
「雌」とうたっていることもあり、『ar』で男性目線というのは外せません。「1人モテ」のように、視点を変えればまだまだニーズはありますし、結局、女子を動かす原動力はいつの世もそこにあると思っているので。
――表紙に出ているフレーズも、特徴的ですよね。「服ほしいわ~」とか、「磨けばひかるヨ」とか。既存の雑誌とは違う、とても自由な発想で作られている印象です。
ええ、特徴を出そうと努力しています。もともとすごく言葉フェチな体質の雑誌でして、リニューアル後はさらにその意識が強まりました。特に私が編集長に就いた後は、タガが外れたというか(笑)。今まで以上に好きにやらせてもらっています。
いちばんのポイントは、コピーの“暑苦しさ”かもしれません。写真も、1ページにドーンと1枚の大きな写真を使うのが女性誌のセオリーですが、そうでない何枚か組み合わせたようなデザインにしてみたり、いろいろやっています。すべて、ノリですね。
以前、ファッションの特集号なのに、どうしても表紙にしたい思った写真が、下着程度しかつけていないものだったのです。どうしたものかと思って、「こう見えてファッション号なんです」と、言葉で入れてしまったことがあります(笑)。
――企画の作り方では、どんな差別化をしていますか?
企画自体も、デニムとか、ニットとか、アイテムで切って前面に出すことはしていません。「どんな女の子になりたいか」が中心です。たとえばセクシーでかわいい女の子になるための、デニムを紹介するページとか。目指すべき女性像から、何が必要かを提示して、物欲を刺激できればと考えています。
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