激変する、大人女子の「モテ」感覚 草食系に見えて、中身は「雌」?

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後ろ姿だけで、売れる服

面白いなと思うのは、背中がしっかり空いているデザインなど、店頭で見たら万人ウケはしない服でも、雑誌に載っている写真の雰囲気次第で、バカ売れすることがあるのです。服そのものではなく、様子や雰囲気、気分が大事なのでしょうね。そうすると、細かく丁寧にモノを見せることより、「これさえあればかわいいっしょ!」と、読者の気分を乗せるような作りであることが重要でしょうね。

あるブランドとのタイアップ記事で紹介したバッグで、大反響だったことがあります。バッグなら大体、モデルが持ってニコッと笑う写真になりがちなところを、そのタイアップではそのバッグを持って、出掛ける直前のシーンにするなど、設定にこだわりました。一方で、実際のバッグの大きさ、容量など機能面は、全然、紹介していません。買おうと思って店頭に行けば、店員さんが説明してくれますから。

背中姿だけを掲載した服が、バカ売れするという(2013年11月号3ページより)

服の場合も、後ろ姿だけを掲載していたりします。冷静に考えれば「この服、前向いたらどうなっているんだよ?」という感じでしょうね。けれども、それで売れるのです。

ただモノを見せて、「さあ買いましょう!」というのではダメで、「こんな女の子になりたいなら、このアイテム!」というように紹介したほうが、グッとくるはずなのです。そういう見せ方だからこそ、そのワンピースやバッグが、気になって仕方なくなるのではないでしょうか。

――企業が女子にモノを売りたい、もっとアピールしたいというときに、大事になることはなんでしょうか。

とにかく、上から目線には絶対にならないように気をつけています。読者と同じ目線に立って、気取らない、リアルな内容を投げかけるように心掛けています。「~すべし」みたいな言い方は、最近、とても嫌がられますね。

それから、モノを作るにしても、宣伝するにしても、マーケティングや調査に基づいて作るというやり方では、今の時代、その他大勢の中に埋もれてしまうと感じます。女性の好みがこれだけ多様化していますから、「右へ倣え」というような単純な流行もなくなってきているのではないでしょうか。雑誌づくりも、女子のハートに刺さることを念頭に、やっていきたいと思っています。

(撮影:梅谷秀司)
 

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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