紙とネットでハイブリッド化、ベネッセ「進研ゼミ」の奮闘
その結果、一つの法則をつかんだ。数少ない成功事例はいずれも、メンターを置いて会員をケアすることで成功している事実を突き止めたのだ。ベネッセも早速クラスコーチ(担任)制度を導入する。過去の失敗は、赤ペン先生を売りにして質問回数に制限を設けなかったため、コストが膨らんだことにある。今回は、個別にではなく、目標が似た子供たちをまとめてクラスを作り、クラスコーチがメールやブログでフォローする仕組みにした。
学習効果測定の結果、正答率の伸びは25%上昇。9割の子供が勉強が楽しくなったと回答した。継続率も従来の紙ベースより約10%上昇した。09年4月には中学2年生、翌年には3年生と毎年ラインを拡充し、中期的にはプラスアイを教材の主軸に据える計画だ。08年4月には、中国で会員数13万人の「こどもちゃれんじ」の本格展開を開始した。一つの壁を突き破って、福島社長は「今後は会員数100万人を目指す」と意気込んでいる。
「会員100万人目指し中国で本格始動」
福島 保 ベネッセコーポレーション社長
1973年の第2次ベビーブーム以降、ずっと少子化と闘い続けている。小学講座の会員数が増加、幼児向け講座も新設したが会員数は2000年がピーク。少子化はこれからもどんどん進んでいく。30年にどうなっているか考えると、恐ろしい数字になるかもしれない。
教育事業の第2の柱とすべく、07年から学習塾を買収している。提供する学習の機会をどう広げていくかが課題だ。特に高校生は大学全入時代で、受験に注力する層が減っている。大学進学だけではなく、進路を広く考え、米ハーバード大学など海外留学向け講座も08年5月に開講した。
全社的には09年4月に、女性のための通信教育講座「ハピコレ」を立ち上げる。女性に特化した通信教育事業は例がない。早期に売上高30億円規模は達成したい。
「こどもちゃれんじ」では中国での展開を本格化した。09年1月に中国事業本部を設立する。中国は日本の人口の10倍。100万会員は目標にしたい。そうなれば、保護者向けの通信販売など、ビジネスチャンスも拡大できるようになるだろう。
(山本亜由子 撮影:代 友尋 =週刊東洋経済)
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