広島に豪華「顔出しパネル」が出現しまくる裏側

背景には「おしい!広島県」のDNAが流れていた

マンガ家タナカカツキ氏による描き下ろし。広島県三原市の名産品「タコ」をモチーフにした顔出しパネル(写真:筆者提供)

「県の観光課はいつも何かを狙っている感じがする。で、いつもチャレンジするんだけど、ダメって言われる経験をたくさんしてきている。僕はそういうチャレンジは応援しようと思っている」

広島在住で、「BADBOYS」などのヒット作を持つ漫画家の田中宏さんはこう話す。彼は、広島県観光課の攻めの姿勢を非常に高く評価しており、彼らの依頼ならできるだけ協力は惜しまないという。

去年7月の豪雨災害により甚大な被害を受けた広島県。観光地における直接的な被害は少なかったが、客足は減少した。風評被害からの脱却を目指すために広島県観光課が利用したのはなんと顔ハメパネルだった。「顔出しんさい!広島県」と銘打って県内各地に顔ハメパネルを設置し、「パネルから顔を出しつつ、広島各地に顔を出してほしい」と、去年11月30日に観光キャンペーンを開始した。

考えてみてほしい。地方公共団体が災害の復興に顔ハメパネルを使うだろうか?「不謹慎だ」などという非難の声を恐れれば、そのような手段は選ばないだろう。しかし広島県はあえてその道を選び、協力する人気漫画家やイラストレーターの顔ぶれの豪華さと、顔ハメパネルとしての斬新さや面白さが評判となっている。

顔ハメパネル愛好家の筆者も、パネルの「ギリギリを攻めた」面白さに驚かされ、いったいなぜこんなに大胆な顔ハメキャンペーンが行政主導で実現できたのかに心を動かされ、現地に向かい関係者の話を聞いた。前・後編に分けて面白すぎる顔ハメキャンペーンの実態をリポートしたい。

豪華すぎる「ハツカイチのばら」パネル

まずは、豪華すぎるパネルの数々を紹介しよう。広島県内有数の切りバラの産地であるという廿日市(はつかいち)市に置かれたのは「ハツカイチのばら」というパネル。当然あの名作、漫画家・池田理代子さんの「ベルサイユのばら」とコラボしたものであるのは言うまでもない。その衝撃度は抜群だ。

県内有数の切りバラの生産量を誇る廿日市市の作品としてコラボ(写真:筆者提供)
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