広島に豪華「顔出しパネル」が出現しまくる裏側 背景には「おしい!広島県」のDNAが流れていた

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「おしい!広島県」とは、ご記憶の方も多いだろうが、2012年に行われた広島県の観光キャンペーンだ。有吉弘行さんを「広島おしい!委員会」委員長に起用し、自虐的とも思えるキャンペーンが笑いを誘った。今回の「顔出しんさい!広島県」にもこの時のDNAが脈々と受け継がれているというのだ。

そこで、「顔出しんさい」キャンペーンの担当者である、広島県観光課の平野宏実さん(33歳)に聞いてみた。

ダメなら諦めるが限界までやる

――なぜこんなに攻めているのですか?

「おしい!広島県」など尖ったことをこれまでもやってきました。民間の方の知識をお借りしています。「おしい!」も「顔出しんさい」も映像クリエイターの江口カンさんという方にプロデューサーをしていただいていますが、その方が面白さに厳しい方で、ちゃんとやらないと怒られます(笑)。

――平野さんは「おしい!」も担当されたのですか?

私は、その頃別の部署にいました。しかし、「行政として超えられない一線はあるが、できるものは必ずやらないと……ダメなら諦めるが、限界までやる」というのが広島県のプロモーションです。前任の方から引き継いでいます。

***

やはり、「おしい!」から始まったギリギリまで攻めるDNAが33歳の若い担当者に受け継がれ、面白い顔ハメパネルを生み出していたのだ。

そしてさらに、このキャンペーンには、パネルをあえて「おしい!」ところに配置するなどさらに深い戦略があった。次回、こうした戦略と、漫画ではない「驚きの仕掛けがなされた」面白パネルについて、そして地元とそれ以外でのキャンペーンの反響や課題などについて紹介することにしたい。

鎮目 博道 テレビプロデューサー、顔ハメパネル愛好家、江戸川大学非常勤講師

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しずめ ひろみち / Hiromichi Shizume

1992年テレビ朝日入社。社会部記者として阪神大震災やオウム真理教関連の取材を手がけた後、スーパーJチャンネル、スーパーモーニング、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。中国・朝鮮半島取材やアメリカ同時多発テロなど海外取材を多く手がける。またAbemaTVの立ち上げに参画。「AbemaPrime」、「Wの悲喜劇」などの番組を企画・プロデュース。2019年8月に独立し、多メディアで活動。公共コミュニケーション学会会員として地域メディアについて学び、顔ハメパネルのメディアとしての可能性をライフワークとして研究する。近著に『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社・2月22日発売)

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