チリワイン「安い=微妙」という残念な勘違い こじるりのようなバランスが魅力のチリカベ

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チリの海岸線には南極から流れてくる冷たいフンボルト海流が南から北へと流れており、夏でもペルーの近くまで行かないと海水浴もできません。ですので、ブドウ産地としてはやや冷涼ですが、2つの山脈のおかげで雨が少なく、そのため日照量が豊富で、ブドウはよく熟すため、ワイン用ブドウ栽培の適地なんですね。

チリでは黒ブドウが多く栽培されていますが、中でもチリを代表するブドウがカベルネ・ソーヴィニョン。「渡辺直美をワインに例えるとどんな感じか」でお話しした、「赤ワインの重めと軽め」の中で「重め」としてご紹介したシラーズと並び、「重め」のワインの筆頭格の1つです。

ほんのりした青っぽさがさわやか

重い味わいとは、簡単に言えば、「果実味」と「渋味」がしっかりあるワイン。なかでもカベルネ・ソーヴィニョンは、酸味も割と感じられるのが特徴で、香りだと、カシスやブラックベリーのような「黒っぽいベリー系果実」と「ピーマンやミントのような青っぽいニュアンス」の香りも特徴的です。

カベルネ・ソーヴィニョンといえば、フランスのボルドー地方が原産地として世界的に知られていますね。チリのカベルネ・ソーヴィニョンは、フランスと比べるとより果実味があり、同時に酸味も適度に残るバランスのいいブドウが育つのが特徴です。

なぜそうなるのかというと、やはり地理や気候が影響しています。チリはフランスよりも乾燥していて夏は暑いことから果実味が増し、また夜はかなり涼しくなり昼夜の気温差が大きいので、酸味が残るのです。 果実味が強いということはブドウの糖度も高めなので、アルコール度も少し高めのワインに仕上がります。

ただ環境がよすぎるのか、ブドウの生育のスピードが速すぎて、収穫も早くなってしまう分、ほんのりとした青っぽさがさわやかに残るワインが多いです。

もともと土地代や人件費などがフランスなどのヨーロッパの主なワイン生産国に比べ安価であることに加え、先ほどお伝えした日本との経済協定によって関税が抑えられているため、チリワインは本当にリーズナブルです。さらに、今年4月には関税が完全撤廃となる予定ですから、ますますお手頃になります。気軽にワインを飲みたいときにすぐに買えますし、失敗が少ないので、チリワインを楽しまないなんて、もったいない話なのです!

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