猫の楽園「青島」の想像よりはるかに厳しい現実 たくさん生まれてもバタバタと死んでいく
2月22日は#猫の日。猫たちの楽園と今や世界的な人気となっている愛媛県の「猫島」。その来るべき未来について考えてみたい。
愛媛県の「猫島」で起きている深刻な問題
愛媛県大洲市の青島は、かなり特殊な「猫島」である。
まずは猫の数だ。島に一歩足を踏み入れたとたん、猫の大群が波のように押し寄せる。そしてつきまとって離れない。日本全国に「猫島」と呼ばれる、猫がたくさん暮らす小さな島は幾つもあるが、ここまでの迫力のあるところはそうそうない。
豊かな自然に囲まれた静かな瀬戸内海の島に、のんびりのどかに暮らすたくさんのひと懐こい猫たち――そんなイメージがテレビや雑誌、そしてSNSで広まり、青島は数年前から一躍世界的に有名になった。今では猫を見るためだけに、国内外からたくさんのひとがやって来る。ゴールデンウィークやお盆の時期などは大変な騒ぎで、対岸の長浜から一日二往復だけ出ている定員三十四名の定期船に乗り切れないほどだ。
だがここは本当に、猫の楽園なのだろうか?
「あんたも猫を見に行くんか」
何度目かの青島訪問の際、定期連絡船「あおしま」に乗り込んだ筆者に向かって船員さんがいったことが忘れらない。
「いつも、思うんじゃ。今にこの連絡船が通らんようになったら、島の猫たちはいったいどうなるんか。間違いなく、もうすぐ連絡船はなくなる」
彼はいらだたしげにそう続けた。きっとこれまで能天気で無責任な訪問客たちに向かって、何度となくこの問いを繰り返してきたのだろう。答えが得られることなど期待はせずに。