続出する「高齢ウサギ介護」の知られざる実態 ブームから7年経った今、問題が噴出
犬猫に続き飼育数の多い哺乳類がうさぎだという事はあまり知られていない。人気の理由はかわいいからというのはもちろんだが、「手間がかからない」と飼育が手軽というイメージから購入する人が多く、特に1人暮らしの女性に人気がある。しかし実際はどうなのだろうか。
「うさぎはとっても手間がかかる上級者向けのペットなんですよ」
そう語るのは日本で初めてうさぎ専門のペットホテル『Rabbit Island』を17年前に東京都内で開業し、これまでのべ1万羽以上を見てきた田口みどりさんだ。イメージと現実のギャップに悩み飼育を放棄してしまう飼い主も少なくないという。うさぎホテルの利用客からさまざまな相談を受けるが、ここ数年相談が増えているのが「うさぎの介護」だという。田口さんにその現状を聞いた。
高齢うさぎが増えた要因の一つは長寿化。近年うさぎブームに合わせてペットメーカーがうさぎ専用の商品を開発したことで飼育環境は急激に良くなっている。特にうさぎ専用フードは開発が進みバラエティーに富んできていることが大きい。
また干支も大きく関係している。7年前、卯年ということで多くのメディアがうさぎを採り上げたことで、この時期に飼い始めた人が多い。うさぎの平均寿命は7~8年と言われ、今まさに多くの飼い主が高齢化の進むうさぎ団塊世代との付き合い方を模索している。
専門医不足に保険適用外、介護の難しさ
「うさぎは全てにおいてデリケートです」と田口さん。
例えば自然界では捕食される側のうさぎは素早く動けるように骨が軽くできている。猫が体の12%を骨が占めているのに比べうさぎは8%しかない。ただでさえデリケートなのだから、骨密度が低下する高齢うさぎの扱いは十分な注意が必要だ。
「飼い主が無理な扱いをしたことで、暴れたり高い所から飛び降りた時の負荷で骨折してしまうことがあります。常に床に近い低い位置で扱ったり、無理に抱かないことを心がけてください」