続出する「高齢ウサギ介護」の知られざる実態

ブームから7年経った今、問題が噴出

付きっきりになる必要があり、手間がかからないという理由でうさぎを飼い始めた人にとっては難しい作業だ。

犬猫のペット介護はさまざまなメディアで報じられているため想像が易い。一方でピョンピョン元気に動きまわるというイメージがあるうさぎを介護するという事を受け入れられない飼い主が少なくないという。

もとは集団行動をする動物のため、うさぎにとって複数が集まる環境は好ましい(写真:淺見良太)

筆者がイメージするうさぎの飼育というと小学校にあったうさぎ小屋であり、ほとんど野ざらしに近く飼育環境は良かったとは言えない。だからなのか「うさぎは飼育がしやすい」というイメージがある。しかし前述のように自然界でうさぎは捕食される草食動物で、大変デリケートな生き物だということを忘れてはいけない。ペットホテルの中には他の動物と一緒の部屋で預かる所もあるが、うさぎにとっては大きなストレス。田口さんがうさぎ専門のホテルにしている大きな理由もそこにある。

とても神経質でささいな環境の変化が命取り

「草食動物は襲われないよう、常に周囲を警戒して安全を確保しているんです」

とても神経質で些細な環境の変化が命取りになることもあり、病院など普段とは違う慣れない場所での診療による過度なストレスで急死することがあるほど。また、時期によっては一日中エアコンをつけて室温を一定に保ったり、コードを噛みちぎらないよう隠したりするなど環境管理に関してすべきことは多い。

そんな繊細な動物だが、飼い主が状態を読みとるのは難しい。犬や猫であれば鳴き声や尻尾など読みとる要素があるがうさぎはそれらが無い。

情報交換が出来る場が少ない飼い主にとって田口さん(右)のようなプロからのアドバイスは貴重(写真:淺見良太)

「病気でも症状が表面化しにくいんです。調子が悪くても普通の顔をしているんですね。エサを食べないとか症状が表面化した時は緊急を要する時です。2時間前には餌を食べていたのに急に食べなくなったりと体調が急変することもありますよ」

話を聞けば聞くほど「手間がかからない」というイメージは消えていく。ギャップが生まれる原因の一つは情報交換の場が少ないことにある。犬や猫なら、専門医や書物、イベントなど情報を仕入れる方法はいくらでもある一方でうさぎに関する情報は少ないという。

例えば、大好物というイメージがあるにんじんには糖分が多いためあげすぎが厳禁であることや、「うさんぽ」と呼ばれるうさぎの散歩がうさぎにとって大きなストレスになることなど勘違いや知られていないことが多い。この情報不足がうさぎユーザーを苦しめる一因になっている事は間違いなく、残念ながらイメージと現実のギャップを受け入れられずうさぎを手放す飼い主も少なくないそうだ。田口さんが飼っているうさぎも元はお客さんのペットだった。

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