続出する「高齢ウサギ介護」の知られざる実態

ブームから7年経った今、問題が噴出

「預けに来た大学生の飼い主さんが『もう要らない』って言って置いていったんです。バイトとか勉強で忙しいというのが理由でした。衝動買いだったんですね。本来は受け取らないんですが特別に引き受けたんです」

田口さんによればイメージと違うことで飼育放棄する人が後を絶たたないという。

「うさぎと暮らすことで得られるメリットだけでなくデメリットも知るべきだと思います。自分の生活環境でベストパートナーになれるのかを判断するために事前に勉強したり専門知識のある人と相談してほしいですね」

年齢を重ねれば病気になりがち。治療でかかる思いがけない出費や介護するにあたって発生するさまざまな生活の制約を全てを受け入れる覚悟が必要だ。

「これはうさぎに限ったことではなくて、命あるペットを受け入れるということは簡単ではないですし、 都合のいいおもちゃでないということを改めて考えてほしい」

うさぎ愛好家にはこだわりが強い人が多いのだとか。糞や尿の量を計測しグラフを作って健康管理する飼い主さんも(写真:淺見良太)

飼育放棄する人がいる一方でうさぎがとてもデリケートで手間がかかり、将来的に介護をすることを理解し受け入れたうえで飼い続ける人は多い。田口さんはその理由を「うさぎが見せる予想だにしない行動」にあると言う。

「犬猫の行動っていろいろな所で見ているからなんとなく想像がつきますよね。うさぎは飼い始めた頃に持っていたイメージを越える行動をします。おなかを見せて寝たり耳を毛ずくろいしたり、ご機嫌がいいと垂直跳びや華麗なひねりジャンプも見せてくれます。見るもの全て初めてなんですね。一緒に生活をすればするほど惚れますよ」

飼う前に考えるべきこと

手間がかかる分、それらを乗り越える度に好きになってしまうのがうさぎの魅力。「手がかかる子ほどかわいい」というのは人間だけではないようだ。

「うさぎが見せる想定外の良いことと悪いこと、そんな全てを受け入れてかわいいと思えるか」

飼う前にじっくり考えてもらいたいことだという。そこで大切になるのは相談できる人や施設を見つけることだろう。うさぎユーザーが集まるイベントに参加し情報交換したり、田口さんのような専門家やうさぎを診察できる医師を見つけ相談することも重要だ。

うさぎの一生を責任もって面倒を見るという覚悟を持ち、 "癒してもらう"という一方的なものではなく"癒し合える"関係を築く努力をする。そうすることで "うさぎ介護"は受け入れやすくなるはずだ。

また、飼い主だけでなく売る方も良い点だけでなく介護を含めた大変な部分もしっかり説明する義務があるだろう。それが生き物を扱う責任だ。

卯年でブームになり生まれたうさぎ団塊世代は平均寿命と言われている7年目を迎えており、高齢化に伴い病気になったり体に不自由が生じているうさぎが増えている。そんな節目の今、"うさぎ介護"について改めて考える時期にきている。

(文:淺見良太)

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