カロリー制限なしダイエットで減量はできるか 脂っぽい食べ物我慢なしも糖質は厳しく制限
カロリー制限なし。空腹に耐えることなく短期間で体重を落とせる――そんなダイエットが話題を呼んでいる。ケトジェニックダイエット、略してケトダイエットだ(この言葉はアメリカで昨年、グーグル検索語ダイエット部門のトップになった)。
脂っこい食べ物も我慢する必要はないが、「ただし」が付く。パン、ポテト、果物まで、糖質(炭水化物から食物繊維を除いたもの)を極端に制限しなければならない。一般的に糖質は1日の摂取カロリーの5~10%に抑えるよう推奨されている。
ケトダイエットの優れた減量効果を示す研究は増え続けている。マサチューセッツ州のフレーミンガム州立大学チームが昨年発表した論文によると、低糖質・高脂質の食事を20週間続けた過体重の成人は、高糖質・低脂質の食事を続けた対照群と比べ、1日の消費カロリーが約250キロカロリーも多かった。
もともとはてんかんの治療で開発された食事療法
女優のハル・ベリーやグウィネス・パルトロウなどセレブにも人気のケトダイエット。ここ数年、レシピや献立が盛んに紹介されるようになり、糖質ゼロのスナックも大いに売れている。
だが歴史は意外に古い。もともとは1920年代にてんかんの治療のために開発された食事療法で、特に子供の患者に有効とされたが、新しい抗てんかん薬の登場に伴って下火になった。
その後1994年、NBCのニュース番組で重いてんかんに苦しむ男の子チャーリーの話が取り上げられ、これがきっかけで再び注目を浴びた。両親が必死の思いでケトダイエットを試みたところ、1カ月足らずで発作が収まり、薬も要らなくなったという。
チャーリーの父親は映画監督のジム・エイブラハムズで、息子の「奇跡的な治癒」を題材に1997年にメリル・ストリープ主演のテレビ映画『誤診』を制作。これでブームに火が付き、偏頭痛や睡眠障害から自閉症やアルツハイマー病まで、あらゆる症状にケトダイエットが試みられるようになった。