アルツハイマー病「根本治療薬」が出ないなぜ

最後に治療薬が承認されたのは15年も前

深刻化するアルツハイマー病の問題に、われわれは対峙していかなくてはならない(写真:bee32/iStock)

知り合いにアルツハイマー病の人がいないという人はアメリカでは珍しい。アルツハイマー病は最も一般的な認知症で、アメリカに550万人、世界に約4400万人の患者がいる。

高齢化が進み、患者数は2050年までに3倍になる可能性があると専門家らは予測している。それなのになぜ現在でもアルツハイマー病の効果的な治療法がなく、予防したり症状の進行を遅らせたりする実証もないのだろうか。

20年間、1つの方策に主眼が置かれてきた

病気の原因やどんな人が発症するのかも、いまだに包括的に理解されていないのはなぜなのか?

「アルツハイマー病は複雑だから」とあなたは答えるかもしれない。確かにそれも理由の1つだ。

この20年ほど、研究者や資金提供機関、臨床試験においては、ある1つの方策に主眼が置かれてきた。アルツハイマー病と関係する老人斑を形成するアミロイドベータと呼ばれるタンパク質の蓄積を、脳内から取り除くことだ。

しかし、一部の医薬品はアミロイドベータの蓄積を減らす効果はあるものの、認知症の症状を食い止めたり、回復させたりするのに成功した医薬品は生まれていない。また、脳内アミロイドベータの蓄積によってできた老人斑があってもアルツハイマー病を発症しない人もおり、アミロイドベータだけではこの病気を説明することはできない。

次ページ200以上の試験を行っても成果なし
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」
  • 最新の週刊東洋経済
  • 競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 就職四季報プラスワン
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
今年こそ始めるプログラミング<br>AI時代の必須スキル

あらゆる産業でITとの融合が加速し、プログラミングは新たなビジネスや業務効率化に必ず役に立ちます。基礎的な考え方や実際の例文(コード)を満載してゼロから説明。4月から小学校で必修となる、教育の最前線もお届けします。