アルツハイマー病「根本治療薬」が出ないなぜ 最後に治療薬が承認されたのは15年も前

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さらに、アルツハイマー病の基盤に関する新説が科学界の支配層から受け入れられるようになってきた。シナプスの回復に取り組む研究者もいれば、脳の免疫系を担う細胞ミクログリアに焦点を当てる研究者もいる。

2つの研究チームが最近、一般的な2種のヘルペスウイルスなどが、脳内のアミロイドベータを蓄積させる免疫反応を促すことを示す研究結果を発表した。

4.4億円の賞金を提示したビジネスマン

そのうちの1つの研究論文の共同執筆者で、アリゾナ州フェニックスにあるバナー・アルツハイマー病研究所のエリック・レイマン医師は、「アミロイドベータに関する仮説が正しくても正しくなくても、アルツハイマー病の仕組みとリスク要因をより理解し、その情報を最も効果的な治療法と予防法を見つけるために使う必要がある」と言う。

認知症の家族歴があるテキサス州のビジネスマンが最近、すでに発表された研究を調査し、それらの発見をまとめてアルツハイマー病の仕組みについての統一的な解釈を示した研究者に400万ドル(約4.4億円)の賞金を与えると発表した。

アルツハイマー病の効果的な治療法はすぐには発見されないだろう。進行したアルツハイマー病の治療薬がなく、治験は主に初期段階に焦点を当てている現時点では、治療の最前線にいるのは介護に携わる人々だ。

アルツハイマー病患者の介護に関する研究では、活動や音楽、幸福感を与える食事、運動などによって前向きな感情の刺激を促すことで、患者の気分がよくなり、不安や不満が減ることが明らかになっている。

だが当然ながら、それはこの病の波を逆行させることとは違う。

(執筆:Pam Belluck、翻訳:中丸碧)
© 2019 The New York Times News Services 

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