親および兄弟姉妹に対する扶養義務とは?
民法877条1項は、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定めています。「直系血族」とは、「自分を中心として、父や母、祖父母など直接さかのぼっていく場合と、子どもや孫、ひ孫など直接下っていく場合の親族」のこと。これが、「自分(成人を前提とします)の親及び兄弟姉妹に対する扶養義務(面倒を見る義務)」の根拠規定になります。
ですが、「扶養する義務がある」という条文内容だけでは、その具体的な程度や内容がわかりませんね。
「自分の親及び兄弟姉妹に対する扶養義務」は、「扶養義務のある者が、自分(配偶者・子がいる場合はそれらも含みます)の社会的地位、収入等に相応した生活をしたうえで、余力のある範囲で、生活に困窮する親族を扶養する義務」と解されています。
自分の生活だけで精いっぱい、余力がない、という場合には、「自分の親及び兄弟姉妹に対する扶養義務」は認められません。自分の親や兄弟姉妹に対する扶養義務は、「自分の生活を犠牲にしてでもすべての面倒を見る義務」ではないのです。この点、重要なので、覚えておきましょう(なお、自分の配偶者および子に対する扶養義務は、「自分の親及び兄弟姉妹に対する扶養義務」よりも義務の程度が強く、「自分と同程度の水準の生活をできるようにする義務」であるとされています)。
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