また、扶養義務の内容としては、(1)面倒見的扶養(同居扶養、要扶養者が生活できるよう生活、療養、介護などに関する事務処理をする身上監護扶養を含みます)、(2)経済的扶養(金銭扶養)があります。
上記(1)(2)の関係については、(2)の経済的扶養が原則です。ただし、扶養義務のある者が、これまでの関係性、経済的観点、他の扶養義務者との関係等を踏まえ、(1)の面倒見的扶養を望む、または承諾した場合には、それを採用することもできる、ということになります。
つまり、「扶養義務がある=同居して身上監護をしないといけない、介護しないといけない」となるわけではない、ということです。
扶養義務は放棄できる?
「自分の親及び兄弟姉妹に対する扶養義務」を放棄できるかというと、法律上はできません。親子関係、兄弟姉妹関係を法的になしにすることはできず、過去にいろいろな経緯があったとしても、「自分の親及び兄弟姉妹に対する扶養義務」を放棄するということは、法律上はできないのです。
では、自分の親や兄弟姉妹から「扶養してほしい(援助してほしい)」と言われたとき、どうするか。
扶養の必要が現実的にある、というのが前提になりますが、扶養をすべき者の順序(扶養する義務のある者が複数いる場合に問題になります)、扶養の程度または方法について、まずは当事者間で協議することが基本です。ですが、扶養義務の有無および程度、つまり「自分の生活だけで精いっぱいで余力がないのか、それとも余力があるのか、余力があるとすればどのくらいか」という問題は、扶養義務者、要扶養者とでは考えが異なることが多いです。そのため、当事者間で協議がまとまらない場合には、家庭裁判所が、「要扶養者の需要、扶養する義務のある者の資力その他一切の事情」を考慮して、定めることになります(民法878条、879条)。
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