「誕生日祝い」を凝りに凝る、若者たちのリアル インスタ映えを超えて、さらに高度化

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若者の誕生日の祝い方、祝われ方は変化し続けている。SNSが普及し、情報が手に入りやすいだけに、特別なお祝いを演出するのが難しくなる中、どのようにして特別感を演出することができるか。相手の好みを理解し、その子らしいお祝いにするため、多くの若者が工夫をこらしている。

原田の総評:SNSが誕生日を祝う起爆剤に

若者たちの誕生日に関するレポートはいかがでしたでしょうか?

博報堂の生活定点調査によると、「贈答について、あなたにあてはまるものを教えてください」という質問に対して、「友人に誕生日などでプレゼントをすることが多い」と答えた人の割合は、20代が他世代よりダントツで多い54.3%(2018年)であることがわかりました。また、1998年の20代(39.7%)と比べても大幅に増えていることがわかりました。

データで見ても、今の若者たちは、とにかく「誕生日を祝うこと」が大好きになっているのです。

冒頭に書いたように、男子同士でさえ、です(ちなみに、博報堂の生活定点調査で「友達に誕生日などでプレゼントをすることが多い」と答えた20代男性は、1998年は25.0%でしたが、2018年は41.9%にまで急増しています)。

このように若者たちの間で「誕生日市場」が盛り上がってきている背景には、SNSの存在があると思います。

SNSは誰が誕生日なのかを“知ってしまう”ツールです。フェイスブックのように人の誕生日を直接知らせてくるものもあれば、誰かが誰かを祝っているのをSNS上の投稿で見て、自分も祝わないといけないと思ったり、祝ってほしいと思ったりする起爆剤となっているのです。

大変残念ではありますが、年賀状やお歳暮など、昔から日本にある儀礼市場は恐らく今後も右肩下がりに減っていくと思います。しかし、多くの企業は、この若者の間で盛り上がる「誕生日市場」に注目し、マーケティング施策を仕掛けていくとよいと思います。

なぜなら、今どきの若者たちは、昔以上に多くの人を祝わないといけない環境になっているため、周りと差別化するために、つねに新しい誕生日のお祝いの仕方や誕生日プレゼントを求めているからです。

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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