「誕生日祝い」を凝りに凝る、若者たちのリアル インスタ映えを超えて、さらに高度化

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<事象1>フラワーボックス 

都内私立大学2年のIさんは、レストランのホールでアルバイトをしつつ、時間を見つけては仲のいい友達と遊びに出かけるアクティブな子だ。流行にも敏感でインスタグラムのチェックは欠かさない。そんなIさんが友達の誕生日に作ったのが、お手製のフラワーボックス。昨今、若者や女性に人気のフラワーデザイナー、ニコライ・バーグマンの「フラワーボックス」に似せて作ったものだ。

お手製のフラワーボックス(写真:筆者提供)

本家のフラワーボックスは生花で3780円〜、ブリザーブドフラワー(生花を特殊な液に沈めて水分を抜いたもの。5年ほど持つ)は9180円〜と、学生からするとかなりお高い。だが、お手製のものは100円ショップの造花と箱で作っており、制作費は2000円ほど。値段を抑えられるため、ほかのプレゼントやお祝いの食事にお金を回すことができる。

Iさんは、「仲のいい4人グループのうちの1人の誕生日を祝ったときに作ったもの。4人とも20歳の誕生日を迎える年で、ネックレスをあげることをなんとなくマストにしていた。それにプラスして何かあげるものを考えるという感じの誕生日祝いだった」と誕生日のコンセプトを語る。

さらに、「誕生日の主役の子のイメージはバラとか赤。でもそれは市販のものではなかなか再現できず、本人にハマる感じがしなかった。だったら自分で作って、本物の花にはできないような仕掛けもすることでオリジナル感を出したほうがいいなと思った」と語る。

そのフラワーボックスにはメッセージカードをしのばせて、主役にちょっとした宝探し感も演出したそうだ。一緒に祝った友達にも「ニセライ・バーグマン」などと言われ盛り上がったという。

その日の主役にも話を聞くと、「アクセサリーはもらえると思っていたけど、フラワーボックスが渡されるとは全然想像していなかった。私のことを考えて作ってくれたんだなというのが伝わる。造花だから枯れないし、部屋のインテリアとして置いておこうと思っている」と話した。

<事象2>プレート

都内私立大学に通うYさんはアルバイトとサークル、勉強を両立させ、忙しくも充実した生活を送っている。明るい性格で友達が多く、友達にも元気な子が多い。

サプライズケーキならぬサプライズピザ(写真:筆者提供)

ある日、彼女が友達に「おいしいピザがあるから」と誘われてついていくと、「HAPPY BIRTHDAY」と書かれたピザが出てきたという。「まさかピザでお祝いされるとは思っておらず、びっくりした。ピザでのお祝いをSNSで投稿すると目を引いたのか“いいね”がいつもより多かった」と話す。

若者たちの間で“誕生日サプライズ“が当たり前になっている中、どのようにオリジナリティを出すかを考える若者は少なくない。

Kさんに用意されたテーブルアート(写真:筆者提供)

都内私立大学に通うKさん。トレンドはこまめにチェックするという、流行に敏感なKさんのため、友人たちが用意したサプライズは、テーブルアートによるお祝いだった。

テーブルアートとは、テーブルいっぱいに大きなシートを広げ、そこにカラフルなソースなどで絵を描いていくものだ。

Kさんにサプライズの感想を聞いてみると、「目の前で繰り広げられるアート作品のようなものは、動画映えもするし、完成した写真をあとでSNSに投稿しても映える。さらに、お店を出たら階段にHappy Birthdayの文字とともに自分の名前が書いてあって感動した。最後までこんなにこだわりのあるサプライズは初めてだった」と話した。

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