しかし、落合さんは、「夫婦で話し合ったのですが、『子どもの進路変更をするのも嫌だし、家を売るのも避けたい』ということになりました。そこで、夫婦で副業をしようということになったのです。不動産投資をしようと思うのですが、どうでしょうか」と言うのです。
もちろんお気持ちはわかります。親として、一生懸命頑張っているわが子をみれば、無理をしてでもどうにかしてあげたいと思うでしょう。そのために収入を増やすことを考えるのは大切です。でも、いきなり不動産投資というのはいかがなものでしょうか。
不動産投資というと「自己資金が少なくても簡単に投資ができて確実に家賃の収益をあげられる」とうたったセミナーや広告をよく見かけます。しかし、借り入れをして不動産投資をするデメリットを考えるべきでしょう。
また、空室リスクや物件が老朽化すること、売りたくなってもすぐには売れないリスク(流動性が低い)があること、さらには人口減から今後は不動産物件が余ってくること、そして何より今は不動産価格が高騰しています。ご参考までに、首都圏のマンションの平均価格は1973年の1171万円から2012年は4540万円と約3.9倍になっているのですが、2018年の平均価格は5833万円でした。2013年頃から急騰しています(不動産経済研究所の首都圏のマンションの市場動向より筆者が計算)。
今は低金利ということもあり、物件価格が割高であってもローン金利が安いので買いやすいように思えるかもしれませんが、借り入れ金額を冷静に見れば十分慎重になるべきです。
まずは冷静になって、家計の現実を見てみましょう。
そもそも、落合家の必要貯蓄率はどのくらいなのかを計算してみます。いつも使っている「人生設計の基本公式」を使います。「あなたは65歳までにいくら貯めればいいのか」の記事を読めば、誰でも3分で計算できます。ぜひ、皆さんも「自分の必要貯蓄率」を出してみましょう。
さて落合さん夫妻の家計です。落合さんは老後の生活にかかるお金を、現役時代の50%(=老後生活比率0.5倍)としました。
(現在の手取り年収ではなく、今後、現役時代にもらえそうな夫婦の平均の手取り年収の合算です)
さて、落合さんの必要貯蓄率はどれくらいになったでしょうか。
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