私立中入学の家庭が3月にすべき家計見直し法 今は払えても、10年後は「無貯金家庭」の危険

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しかし、落合さんは、「夫婦で話し合ったのですが、『子どもの進路変更をするのも嫌だし、家を売るのも避けたい』ということになりました。そこで、夫婦で副業をしようということになったのです。不動産投資をしようと思うのですが、どうでしょうか」と言うのです。

もちろんお気持ちはわかります。親として、一生懸命頑張っているわが子をみれば、無理をしてでもどうにかしてあげたいと思うでしょう。そのために収入を増やすことを考えるのは大切です。でも、いきなり不動産投資というのはいかがなものでしょうか。

不動産投資というと「自己資金が少なくても簡単に投資ができて確実に家賃の収益をあげられる」とうたったセミナーや広告をよく見かけます。しかし、借り入れをして不動産投資をするデメリットを考えるべきでしょう。

また、空室リスクや物件が老朽化すること、売りたくなってもすぐには売れないリスク(流動性が低い)があること、さらには人口減から今後は不動産物件が余ってくること、そして何より今は不動産価格が高騰しています。ご参考までに、首都圏のマンションの平均価格は1973年の1171万円から2012年は4540万円と約3.9倍になっているのですが、2018年の平均価格は5833万円でした。2013年頃から急騰しています(不動産経済研究所の首都圏のマンションの市場動向より筆者が計算)。

今は低金利ということもあり、物件価格が割高であってもローン金利が安いので買いやすいように思えるかもしれませんが、借り入れ金額を冷静に見れば十分慎重になるべきです。

まずは冷静になって、家計の現実を見てみましょう。

そもそも、落合家の必要貯蓄率はどのくらいなのかを計算してみます。いつも使っている「人生設計の基本公式」を使います。「あなたは65歳までにいくら貯めればいいのか」の記事を読めば、誰でも3分で計算できます。ぜひ、皆さんも「自分の必要貯蓄率」を出してみましょう。

さて落合さん夫妻の家計です。落合さんは老後の生活にかかるお金を、現役時代の50%(=老後生活比率0.5倍)としました。

●落合さんの家計(夫43歳・会社員、妻43歳・会社員)
・家計の今後の平均手取り年収(Y)790万円
(現在の手取り年収ではなく、今後、現役時代にもらえそうな夫婦の平均の手取り年収の合算です)
・老後生活比率(x)0.5倍(老後、現役時代の何割程度の生活水準で暮らしたいかを設定します。落合さんは、子どもたちが独立し、住宅ローン完済後は現在の半分くらいで生活できる見込みです)
・年金額(P)330万円(夫婦ともに厚生年金を受給できます)
・現在資産額(A)-1000万円 (現在貯蓄額は200万円ですが、2人の子どもの教育費をそれぞれ600万円ずつとして計算しました)
・現役年数(a)22年(65歳まで働くことを予定します)
・老後年数(b)30年(65歳以降95歳までを想定しています)

さて、落合さんの必要貯蓄率はどれくらいになったでしょうか。

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