アップル「機能向上に個人情報は不要」の真意 本社の「プライバシー情報」担当者を直撃

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同様のポリシーは、音声アシスタントサービスでも貫かれている。Siriを使う際、質問の音声データがアップルのサーバーに送信されるが、質問ごとに異なる識別子が割り当てられ、個人IDとはひも付けられない。質問を認識した結果、どのように振る舞うかは端末内で解決される。

もっとも、無料で利用できるサービスを活用するため、あるいは他社製品との連携のために、利用者自身が情報を提供することに対して、それをアップルが制限することはない。“デバイスの外”と個人情報を交換する場合は、明確にユーザーに対して許可を求めた後、アップルのサーバーを介さずにデータをやりとりする。

たとえば、iOSのヘルスキット(健康情報を扱う機能)には、Apple Watchからの情報だけでなく、睡眠やその他ヘルスケア機器、サービスからの情報を集め、時にその情報を用いたサービスを利用したいと思うかもしれない。

その場合、ユーザーはヘルスキットのデータを他社サービスに送信できるが、アップルのサーバーは経由せず、直接、パートナーのサービスに送信される。

ネット時代に何が起きているのか

無料で提供されるさまざまなサービスが利便性を提供しているうえ、それが個人の利害に直接的に関わらないのであれば、十分に許容できると考えている人も多いだろう。しかし、多くの人は個人情報がどのように扱われ、われわれの生活、消費行動に影響を与えているのか把握していない。

なぜなら、把握する手段がないからだ。

日本でも“デジタルプラットフォーマー”という言葉で一括りにされるGAFAだが、個人データの利用原則に関する規定を細かく明らかにしたうえで、ハードウェアやソフトウェア、サービスにおけるデータの扱いについて設計情報を明確にしているのはアップルだけだ。

グーグルはデータ利用に関する可視化と制御の手法を提供すると言っているが、まだ実現はしていない。フェイスブックに至っては、無料の巨大サービスを提供するうえでの対価として、正当なものだと主張している。

しかしながら、世の中のすべての人が情報リテラシーについて高い知識を持っているわけではない。高齢者や子どもたちもネットと切り離せない社会において、個人情報がどのように扱われ、それによって何が起きているのか――。

可視化したうえで正しい判断ができるよう、国ごとの法整備がいずれ必要になっていくだろうが、プラットフォームを提供する企業は明確なポリシー、情報の扱いについて開示の責任がある。

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