映画『ゼロ・グラビティ』がすごい理由

プロデューサーのデヴィッド・ヘイマンに聞く

――映画作りにおいての逆境はどうですか?

逆境と言っても、いろいろなかたちがあって。どんなに成功している人であっても、課題というものはつねに降りかかるものではないかと思う。仕事は難しいものだ。自分が打ち込めるようなプロジェクトをどうやって見つけるか。実際にプロジェクトを見つけたとしても、それをどうやってうまい具合に脚本に落とし込むのか。そのストーリーを語るのに適切な監督も見つけなければいけない。もちろんおカネだって集めなければいけない。映画というのは本当におカネがかかるものだからね。毎日、仕事をしていくうえで、そういった課題は次から次へと生まれてくるわけなんだ。

――たとえば、今日のヘイマンさんの課題は何かありましたか?

今日は1時間しか寝ていなくて、時差ボケなんだ。それでも取材をする皆さんの質問にどうやったらうまく答えられるだろうかと、そればかり考えているよ(笑)。まあ、そんなことを言っても、僕はラッキーな男だと思う。とてもいい人生を送っているからね。

儲けではなく絶対に語りたいと思えるストーリーを選ぶ

――ヘイマンさんの元には、日々、いろいろな脚本や企画が届けられると思います。それを適切にピックアップする秘訣はありますか?

デヴィッド・ヘイマンDavid Heyman 1961年イギリス・ロンドン生まれ。シリーズ映画において歴代最高額の興行収入を記録した『ハリー・ポッター』シリーズ全8作品の製作を担当。これまでに製作を務めた作品として、フランシス・ローレンス監督、ウィル・スミス主演のSFサスペンス『アイ・アム・レジェンド』、ジム・キャリー主演のコメディ『イエスマン “YES”は人生のパスワード』、マーク・ハーマン監督の『縞模様のパジャマの少年』などがある。2003年にイギリス人プロデューサーとして初めてショーウエストのイヤー・オブ・ザ・プロデューサーに選ばれた。さらに2011年にはシネヨーロッパでプロデューサー・オブ・ザ・ディケイドに選ばれている。

僕の知る限り、自分の内面ときちんとつながることができるプロジェクトを選ぶ以外に、方法はないんじゃないかな。自分自身は興味がないけど、これは儲かるからとか、そういったことではできない。自分が絶対に語りたいと思えるストーリーでないと、絶対に始められない。そしてそれを一緒に語りたいと思えるような人がいなければ駄目だ。

僕が興味を持っているは、人間の話。そしてその人が置かれている状況だ。『ゼロ・グラビティ』はスペクタクルにあふれる作品だ。でもこの作品はひとりの女性の心の旅路でもあるんだ。彼女は悲しい過去に縛られていて、そこから抜け出せずにいる。その女性が逆境に立ち向かうことによって、現在に生きることができるんだ。

僕がワクワクしたり、感動できるストーリーであれば、おそらくほかの人もそうじゃないかと考えているんだ。つまり企画をピックアップする秘訣は、僕の心の中にあると言えるだろうね。もちろん客観的なデータといったものも必要となるけど、それでもその前に自分の心が動かなければならない。このストーリーを信じることができないと、そのプロジェクトに対して、自分が何をしたらいいかわからないんだ。もしそういうふうにつながれなかった場合、おそらく僕は財務的なサポートくらいしかできないだろうね。

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カーリング人気萌芽の時代から、平昌五輪での銅メダル獲得まで戦い抜いてきた著者。リーダーとして代表チームを率いつつ、人生の一部としてカーリングを楽しめるにまで至った軌跡や、ママさんカーラーとして子育てで得た学びなどを語る。