売れまくる化粧品から考える「日本製」の復興 中小メーカーによる地産地消コスメにも注目

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活況を見せているのは、インバウンドだけではありません。商品の品質に惹かれ、帰国後にインターネットを利用して継続的に購入する人たちも多数います。日本化粧品工業連合会によると、2016年には化粧品の輸出金額が初めて輸入金額を上回り、2017年には輸入金額の1.5倍となる約3500億円を輸出しました。

訪日外国人に対して、今後は「何となく日本製がいい」ではなく、さらに強い購入動機を与える必要があります(撮影:今井康一)

ただ、2016年に爆買いが失速して小売業が打撃を受けたように、今後の経済政策や政治動向によっては消費が一気に冷え込むことも起こりえます。

もしそうなると、大量の余剰在庫を抱える恐れもあります。

今は日本製であることが1つのブランドになっていますが、国際情勢の変化にたやすく左右されない価値を確立するためには、ステージをもう一段階高めなければなりません。使い手のことを考え、手間暇をかけたものづくりこそが、本当の意味でのメイドインジャパンと言えます。

日本製の化粧品に注目が集まっている今は、ものづくりに力を入れ、それを発信することでブームをカルチャーに昇華するチャンスです。

石油系原料を一切使用しない地産地消のコスメ

「コスメ業界は水商売」と揶揄されることもあるように、化粧品は成分のほとんどが水と油であり、原価率は10%〜15%だと言われています。

コスメ業界は、資金力のある国内大手4社(資生堂、花王、コーセー、ポーラ・オルビス)が業界シェアの約4割を占めており、ロレアルなど海外大手の影響力も大きい中、宣伝広告費をかけなければシェアは拡大できません。

そんな中で新しい波を起こそうとしているのが、福岡県遠賀郡芦屋町にある「美容薬理株式会社」です。

福岡県遠賀郡の本社を訪れ、商品に込めた想いを金井誠一社長(右)から伺いました(写真:ファクトリエ)

「美容薬理株式会社」の商品は、石油由来の成分が一切使用されておらず、成分は100%自然由来。

「水も極力使っていません。原料のキャリーオーバー(成分を抽出する過程で添加物を使用した原料)も認めていないんです」と、代表取締役社長の金井誠一さんは話します。

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