売れまくる化粧品から考える「日本製」の復興 中小メーカーによる地産地消コスメにも注目

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「水と油を混ぜる合成界面活性剤、合成香料、色素などを使用していないのはもちろん、防腐剤も天然です。防腐剤を天然由来で開発する際は苦労しましたが、すべて無添加で作られた夢の商品を目指し、試行錯誤を繰り返しました。そこで目をつけたのが、天然ハーブとローズマリーエキスの防腐力です。研究を重ねた結果、防腐値が最も高い部分を抽出し、増幅する技術の開発に成功しました。

植物のビタミンや有効成分を壊さないよう、原料は完全非加熱で時間をかけて抽出しています。抽出溶媒の薬物使用、動物による実験なども一切行っていません。厳しい管理のもとですべての商品を自社生産しています」(金井さん)

昨年発表した新ブランド「SHIZOOJU シズージュ」のコンセプトは、「グルメな肌~スキンケアは、お肌の食事」。

梅干しや梅酒を作る際に使われる赤紫蘇がコスメの成分として含まれています(写真:ファクトリエ)

化粧品は、口から食べるものと同じくらい安心でなければならないと考え、原料は有機JAS認定を受けた自社農園の植物、そして信頼の置ける提携先の農家が無農薬で育てた植物を使用しています。

成分の1つである赤紫蘇は、地元・芦屋町の特産。地産地消のコスメという新しい切り口でマーケットに参入しています。

ほかにも、100%自然由来にこだわっているコスメブランドは増えており、名古屋に本社をかまえる「株式会社ネイチャーズウェイ」もその1つ。ネイチャーズウェイは、原材料の収穫祭を開催して全国からユーザーを招くなど、独自の手法で顧客の支持を得ています。

日本に逆輸入される啓発と気づき

業界を発展させるためには、大手企業のダイナミックな経営戦略だけでなく、中小企業が別角度からマーケットを活性化させることも重要です。中小企業の新しい取り組みにもスポットライトが当たることを願い、今回ご紹介しました。

現在、化粧品の輸出先は中国、香港、台湾などが上位を占めていますが、本当の意味でのメイドインジャパンを作り、発信していけば、顧客の輪はさらに広がっていく可能性もあります。そしてその流れは、「肌に直接つけるものには配慮しなければならない」という啓発と、「自国の技術を大事にしなければならない」という気づきを、逆輸入する形で日本国内に与えます。

今の訪日外国人消費に左右されない経済基盤を築くことは、メイドインジャパンの復興を意味していると言っても過言ではありません。コスメ業界は、大きな転換期を迎えていると感じています。

山田 敏夫 ファクトリエ代表

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やまだ としお / Toshio Yamada

1982年熊本県生まれ。大学在学中、フランスへ留学し、グッチ・パリ店で勤務。卒業後、ソフトバンク・ヒューマンキャピタル株式会社へ入社。2010年に東京ガールズコレクションの公式通販サイトを運営する株式会社ファッションウォーカー(現:株式会社ファッション・コ・ラボ)へ転職し、社長直轄の事業開発部にて、最先端のファッションビジネスを経験。2012年、ライフスタイルアクセント株式会社を設立。2014年中小企業基盤整備機構と日経BP社との連携事業「新ジャパンメイド企画」審査員に就任。2015年経済産業省「平成26年度製造基盤技術実態等調査事業(我が国繊維産地企業の商品開発・販路開拓の在り方に関する調査事業)」を受託。年間訪れるモノづくりの現場は100を超える。

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