社会人にもなって、そんな甘えたことを、というご意見もあるでしょうが、基本、なんでもない日常会話ができない相手に相談をすることは難しいのです。日常会話が減ってしまった理由の1つには、プライバシーに関わることを話してはいけないという間違ったパワハラ教育が浸透してしまった影響があると思います。
厚生労働省がまとめたワーキンググループの報告書には、パワハラの定義として「プライバシーに関することに過度に関わること」という内容が含まれています。この「過度」が抜け落ちた状態で広まってしまっているように感じます。
家族のことを聞こうが、休みの日の過ごし方を話題にしようが、まったく問題はなく、相手が嫌がるのに無理やり聞き出すとか、毎日毎日しつこく同じことを聞くとか「過度」にならなければいいわけです。そこに神経質になりすぎている感は否めません。
もちろん、職場に雑談をしにきているわけではありません。しかし、職務の話題しか交わさないような現場は、お互いのコミュニケーションを取るのが難しいといえます。
学生時代とは違い、気が合うからとかノリで仲良くなるというのは、組織の中に入れば難しいかもしれません。社会人になったと同時に一人暮らしをする人も増え、今日あったことを話す相手もいないという人もいるでしょう。さらに、婚姻率も下がる一方で、一人で過ごす時間が長くなればなるほど、他者との関わりに大きな壁が立ちはだかります。一部の社交的な人は、自分から声をかけて人との交流を謳歌している人もいますが、あくまでも一部です。
そのような環境で、1日のほとんどを過ごす職場での悩みや相談をできるのは、身近な上司や先輩だったりするわけです。お酒を飲んだり、ご飯を一緒に食べるという行為は、気持ちを緩め、職場を離れて気持ちも話しやすくなります。頻度が高かったり、拘束時間が長いと別の問題が生じてくるとは思いますが、まずは、そのような仕事を離れての「場」を持ってみるのも大切なのではないでしょうか。
多くの人が「誘ってほしい」と思っている
実際に若い人に、上司や先輩から、飲み(もしくは食事)に誘ってほしいと思うか尋ねると、多くの人がYESと答えます。世間で言われていることと少し様子が違うので、初めに聞いたときは少なからず驚きました。
理由は、「こちらからは誘えないので、声をかけてもらえたらうれしい」「普段は自分のことを話すこともないし、聞いてもらえたら」「上司や先輩が普段思っていることや仕事についての思いを聞きたい」とさまざまです。
ですから、必要以上に「誘う」ことを躊躇することはないと思います。もちろん、相手のあることなので、普段のやり取りや関わり方も含め、強引にではなく配慮をもって声をかけることは必要かと思います。
また、一部の人に、「行きたくない」と強烈な拒否感があることも事実です。
話を聞くと、すでに上司や先輩との関係性が悪化しているケースです。「こちらの言い分に耳を貸さず、話を聞いてくれない」「要望に対して応えないばかりか、理由も教えてくれない」と受け入れてもらえなかったことが関係悪化の要因になっていることが見受けられます。
いずれにしても、話をする場、きちんと向き合う場を若手が必要としていることには変わりありません。
遠慮しすぎて、もしくは、相手のことがわからないからといって、上司のほうから離れていくということがないようにと願います。
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