太る原因は「食べ過ぎ」に限らないという新説 食べ過ぎや運動不足より影響が大きい「遺伝」

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では、この遺伝傾向に対して打つ手はないのでしょうか? 逆説的ですが、「遺伝が7割」なのであれば、「残りの3割は私たちが自分でコントロールできる」ということになります。

この3割を最大限に活用するにはどうすればよいか――そのヒントが得られる「太った子どもたちが、遺伝傾向に打ち勝ってやせた」プログラムをご紹介しましょう。

甘い飲み物を減らしたら…

オーストラリアのロンプ&チョンプ社が2004年から4年間、ゼロ〜5歳までの約1万2000人の子どもを対象に実施したプログラムがあります。このプログラムで掲げられた目標は2つ。

①「糖分が多く含まれている飲み物」を減らす
②「エネルギー密度の高い間食」を減らす

甘い飲み物には砂糖が大量に含まれており、また飲み物という性質上、吸収しやすく、血糖値が上がりやすい特徴があります。また、間食によく食べられるクッキーやクラッカーなどは、精製された炭水化物を多く含んでいます。ゆえに、上記2つを実践して糖分と精製された炭水化物の摂取量を減らせば、インスリンが減ることになります。

このプログラムでは、袋詰めのスナック菓子やフルーツジュースが1日約2分の1カップに減らされました。すると、2歳から3歳半の実験群の子どもたちは、プログラム対象外の子どもたちと比べて、はるかに健康的な体重に近づき、肥満率は2~3%にまで減少したのです。

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イギリスの南西部では、6つの学校で「炭酸飲料を飲むのをやめよう」というキャンペーンが行われました。目標はただ1つ、「7歳から11歳の子どもが飲む炭酸飲料を減らす」というものです。

このキャンペーンのおかげで、1日の炭酸飲料消費量は150ml減り、肥満率も有意に減少しました。対して、いつもどおりの生活を送った子どもたちは、最大7.5%も肥満率が増えていたとのこと。「加糖された飲み物」を減らすことには、確かな肥満予防効果があるということにほかなりません。

確かに肥満の7割は遺伝で、母親が太っていると子どもは有意に太りやすいというのは事実です。とはいえ手を打たなければ、大人になっても太りやすい体質は変わらず、とくに心臓血管系の疾病リスクが上がります。

しかし、残りの30%は自分たちの手でコントロールでき、事実、子どもの頃に太っていても、大人になったときに通常の体重になれば、これまで太っていた時期がない人と同程度の寿命を獲得することができるのです。

大人になってからでも、「加糖飲料を減らす」「間食を減らす」など、精製された炭水化物と糖分摂取を少なくできれば、遺伝に屈することなく減量を果たすことができるのです。

ジェイソン・ファン 医学博士
Jason Fung

1973年生まれ。トロント大学医学部卒業。同大学の研修医を経たのち、カリフォルニア大学ロサンゼルス校にて腎臓専門医の研修を修了。2型糖尿病と肥満に特化した独自の治療を行う「インテンシブ・ダイエタリー・マネジメント・プログラム(集中的な食事管理プログラム)」を開発。著書に『The Obesity Code』『The Complete Guide to Fasting』など。雑誌『ジャーナル・オブ・インスリン・レジスタンス』の編集長(科学部門)も務める。

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