「シャープ」が描く北米市場への復活プラン CES展示の「Powered by Foxconn」の意味とは

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ソニー幹部だった石田氏がシャープ副社長に就任後、欧州最大の家電見本市「IFA」に出展し始めたのは、欧州でのブランドライセンスを取り戻し、事業展開可能になったからだ。CESに展示するというからには、具体的な事業計画があるからだが、北米市場に関しては「北米市場でシャープ製品を展開していくという意思を強く示す」ことが目的だったと石田氏は話した。

シャープ副社長兼AIoT戦略担当でDynabook会長もつとめる石田佳久氏(筆者撮影)

「北米市場から撤退していたシャープだが、主力製品のテレビをハイセンスにライセンスしているため、大きな展開を行う組織がない。一部、ホテル向けなどにテレビを卸すB2B事業は残っているが規模は大きくはない。そうした中で、シャープという会社がどんな製品・技術を持っていて、どんな意思を持って北米市場に取り組もうとしているのか。流通のバイヤーなど関係各所に訴求する目的で出展を決めた」(石田氏)

ハイセンスへのブランドライセンス問題(テレビのみで、白物家電は該当しない)は解決していないままであることを認めつつも、メーカーとしての意思を業界関係者に浸透させ、問題が解決次第、速やかに事業を進める環境を作ることが目的というわけだ。

では、どのような復帰プランを計画しているのだろうか?

8Kを中心としたエコシステムに製品を展開する

かつて北米市場にシャープが大きなマーケティング投資をしていた時代は、国内液晶生産工場と連動した大型液晶テレビの販売に大きく傾いたものだった。しかし、北米市場への復帰に際しては、8K液晶パネルを中心に、業務用、消費者向けを問わず、8K映像技術を中心としたソリューション全体をカバーするエコシステムに製品を展開していくことだという。

「われわれは“液晶パネルの会社”と思われているが、液晶に固執しているわけではない。実際、小型ディスプレイではOLED(有機ELディスプレイ)もやっている。しかし映像エンターテインメントに関して言えば、OLEDで8Kテレビの実現はかなり先のことになる。これからの事業展開を考えるならば、液晶の特徴である高精細を活かした8Kを中心としたエコシステムに商機がある」と石田氏。

8Kテレビはもちろんだが、そこに8Kカムコーダ、医療向けソリューション、教育向け8Kデバイス、アート向けソリューションなどを展示し、北米でのパートナーシップを模索しているという。

「ひとつの事業領域は、日本でも展開しているAIoT(AIプラットフォームを中心としたIoT事業。日本では独自のAIプラットフォームを中心に家電製品を展開している)をアメリカでも展開していくこと。日本では独自プラットフォームでやっているが、つながる機器は自社のみで約150製品しかない。北米市場でのアマゾンのAlexaやGoogle Homeが席巻している北米市場とはレベル、深みともにとてもかなわない。そこで展示製品の一部はAlexaに対応させた。しかし、Alexaをそのまま組み込むだけでは、シャープが(ユーザーの利用傾向を示す)データを取得する機会がない。そこで音声操作のソリューションはアマゾンやグーグルを用いるが、その先のサービス利用はシャープが提供する枠組みで、AIoTの枠組みを考えている」(石田氏)

【2018年1月18日16時20分 追記】記事初出時、AIoTプラットフォームにつながる機器の製品数に誤りがありましたので、上記のように修正しました。

次ページアマゾンやグーグルのプラットフォームと連動
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