テスラに悩まされるパナソニック社長の本音

「いったい何者なのか」と自問自答した真意

米電気自動車メーカー・テスラのイーロン・マスクCEOの奔放な言動は、同社の大衆車「モデル3」などに電池(右)を供給するパナソニックを悩ませている(左写真撮影:尾形文繁、右写真:パナソニック)

家電から車載に軸足を移して成長する――。一度はそう打ち出したパナソニックが、方針の見直しを決断した。

「実はここしばらくの間、パナソニックという会社がいったい何者なのか、自問自答する日々を過ごした。かつて家電の会社だった時代は説明しやすかったが、今は車載電池、車載エレクトロニクス、工場の(製造)ラインなど、さまざまな事業を展開している。そして気がつくと、パナソニックがいったい何者なのか見えなくなっていた。正直、かなり悩んだ」

今年創業100周年を迎えたパナソニックが10月30日から5日間、東京・千代田区の東京国際フォーラムで開催している記念イベント。開催初日の30日、基調講演に登壇した津賀一宏社長のスピーチのサブタイトルは、「パナソニックは、家電の会社から何の会社になるのか」。テーマの通り、話は社長の悩みの吐露から始まった。

住宅と車載、成長の2本柱に抱く不安

テレビの失敗を元凶とする業績不振から脱却すべく、2012年に社長に就任して以来、家電の次の成長柱を模索してきた津賀氏。2013年には、住宅と車載の2分野を重点事業に位置づけ、2015年から4年間で1兆円の戦略投資枠を設けるなど、事業の育成に注力してきた。

100周年記念フォーラムの基調講演にて、「パナソニックとは何の会社なのか自問自答していた」と吐露した津賀一宏社長(記者撮影)

だが、住宅事業は戸建てやリフォーム、介護などの重点領域で中期の収益計画を大幅に下方修正。直近の2018年4〜6月期は営業赤字となり、戦略を再考。そこで現在は、もう一本の柱である車載部品の中でも今後の市場拡大が見込まれるEV(電気自動車)用リチウムイオン電池を成長の柱に位置づけている。

電池事業の最大顧客は2011年から戦略的パートナー契約を結ぶ米EVメーカーのテスラ。アメリカ・ネバダ州の電池工場「ギガファクトリー」にはパナソニックも2000億円程度を出資し、共同で運営している。2017年にはトヨタ自動車との提携検討も発表した。この2社を筆頭に、12社80車種以上に供給し、出荷量ベースでは世界シェアの15%ほどを握る(2017年、調査会社テクノ・システム・リサーチ)など、市場でも優位にある。

電池事業の2017年度の業績は、北米と中国2つの新設工場への先行投資が重く18億円の営業赤字だったが、「今期(2018年度)から本格的に投資の刈り取り時期に入る」(梅田和博CFO)。車載事業の成長がまさにこれから、という時期にも関わらず、津賀氏が思い悩んだのはいったいなぜなのか。

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