「シャープ」が描く北米市場への復活プラン CES展示の「Powered by Foxconn」の意味とは

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1月8~11日にアメリカ・ラスベガスで開催された家電・IT見本市「CES」で大きなブースを構えていたシャープ(筆者撮影)

1月8~11日にアメリカ・ラスベガスで開催された家電・IT見本市「CES」において、シャープのブースは存在感を放っていた。

液晶パネル、太陽電池の生産工場への投資計画の見誤りと、景気動向なども重なり、事業規模を大きく縮退させたうえで、2016年4月にフォックスコン傘下に入ったシャープ。しかしその後、業績を回復させて2017年12月に再上場を果たしたことは記憶に新しい。

しかしシャープが事業再建を自主的に行っている中で、海外市場からの撤退に伴い「SHARP」ブランドは地域ごとに他社にライセンスした。例えば、欧州においては、ポーランドにあった生産拠点をスロバキアのUMCに売却し、同時にシャープブランドをUMCにライセンスした。アメリカ市場における手法も同様だ。中国のハイセンス(海信集団)にメキシコのテレビ工場を売却。同時にシャープブランドをライセンスしている。

北米ではB2B領域でしか事業ができない

このように、シャープは主要市場において、自社ブランドで主力製品の液晶テレビを販売できない状況にあった。

欧州市場に関しては、UMCの持ち株会社を2016年12月に約104億円で買収。トルコのヴェステルにライセンスしていた白物家電事業も、2018年1月に見直しを行い、これによって欧州でのシャープ製品の展開が可能となっていた。

しかし、ハイセンスとのブランドライセンスに関しては、いまだ取り戻し交渉は合意に至っておらず、北米でのシャープは現在、B2B領域でしか事業ができない制約がある。

このように、北米での事業に大きな制約がある中で、シャープはなぜ、ラスベガスコンベンションセンターのセントラルホールに大きなブースを陣取ったのか。シャープ副社長で海外事業を主に担当、2018年10月に東芝から買収したパソコン専業子会社Dynabook会長も務める石田佳久に話を聞いた。

今回、CESにシャープが大きなブースを構えると聞いて、ブランドライセンス問題が解決したのか?と思った関係者も少なくはないだろう。前述したようにシャープは事業の自主再建を進めている時期に、採算が大きく悪化していた海外事業を整理し、ブランドライセンス契約を結んでいた。

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