「シャープ」が描く北米市場への復活プラン CES展示の「Powered by Foxconn」の意味とは
例えば、現在シャープが北米で販売している電子レンジは、他社提供サービスの「SideShef」に依存している。これでは家電をネットワーク化しても、利用データを取得できず、本来の事業戦略を達成できない。そこで、調理家電だけでなくシャープが北米で展開できそうなIoT製品について、サービスとともに立ち上げ、アマゾンやグーグルのプラットフォームと連動させていく。
もっとも、白物家電に関しては流通の兵站(へいたん)が長くなる一般流通ではなく、ビルトインタイプを中心に据えたラインナップで、B2B2Cの展開を考えているという。展示では小型のヘルシオ グリエも置かれていたが、エアコン、空気清浄機、洗濯機、冷蔵庫などについてビルトインタイプを開発。
さらにIoT製品は、ひとのヘルスケアはもちろん、すでに発表済みの愛犬向けヘルスケアモニターなど、ペット向け事業の展開も見据える。
今回のシャープブース。以前のCESが、黒を基調にして液晶テレビ中心の展示だったのに対して、白を基調に赤いシャープロゴという、シャープ製品全般をフィーチャーしたブースになっていたが、その中で気になったのが、シャープロゴに「Powerd by Foxconn」と添えられている部分が見られたことだ。
“Powered by Foxconn”の意味
「実は中国向け製品では以前から使っていた手法だが、CESではアメリカの担当者が“付けたい”の発案で検討した。われわれの目的は一般消費者ではなく、流通のバイヤー、B2B系のパートナー候補に訴求すること。“Foxconn”は一般消費者にはあまり知られていないが、業界関係者なら誰でも知っている。ブランド管理の面ではダブルブランドは好ましくないが、実際に商品開発の面で協力している製品に関しては“Powered by Foxconn”を入れることにした」と石田氏。
実際、いくつかの製品はシャープ単独ではなく、フォックスコンのグループ企業が持つ技術を基に開発しているという。
例えば今回、プロフェッショナルとコンシューマー、両市場にアプローチする8K動画を撮影可能なビデオカムコーダー(マイクロフォーサーズ規格)が参考展示ながら初出展したが、これはフォックスコンが出資する業務用映像機器ベンダーであるアストロデザインが展開する機器や共同開発した業務用カメラなどとともに“8Kソリューション”として提案するエコシステムの一部だ。シャープが“8Kソリューション”として提案しているシステムの一部には、アストロデザインの技術や販路が欠かせない。
発売は未定とのことだが、展示された試作機を見るとオリンパス製のマイクロフォーサーズ規格レンズが取り付けられており、すでに流通している各社のマイクロフォーサーズ規格レンズを使える製品になることがうかがえた。
【2018年1月18日16時20分 追記】記事初出時、8Kビデオカムコーダーがアストロデザインとの協業で開発したものと誤記していたため訂正しました。
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