なぜ男3人で暮らすことに?
「俺さあ、今、男3人で住んでるの。シングルファザーの友達と、その19歳の息子と、3人」
友人Eは、テレビ局に務める42歳。ついこの前まで都内のマンションに1人暮らしだったが、しばらく会わない間に自宅を引き払い、友人父子の暮らす別のマンションに移り住んでいた。でも一体なんでそんなことに? 私が尋ねると、Eはうなだれて言う。
「結婚まで考えてた彼女に振られてさ……。この際、家も家具も全部手放して、リセットしてやろうと思って」
Eは以前から結婚願望が強く、奥さんと子どもがほしいとことあるごとに口にしていた。実際、Eは小さい子どもからもよく好かれ、経済力だってある。家庭を持てばきっといい父親になるに違いないのだが、いかんせん恋が結婚に発展しないという悩みを抱えていた。年齢的な焦りもあり、Eはついに決意した。
“……神頼みだ!”
誰か腕利きの風水師を探して、最も良縁の望める方角に引っ越すことにしたのだそうだ。ところが、あいにくその腕利きの風水師がなかなか見つからない。引っ越し先は決まらず、一時的に友人父子の家に住まわせてもらうことになった。以上がおおまかなことの成り行きらしい。
「もう2カ月になるんだけど、住んでみるとめちゃくちゃ快適でさ。19歳の息子くんもまたかわいいのよ」
さっきまでとはうって変わって、顔を輝かせながら男3人暮らしのすばらしさを饒舌に語る。
「この前なんか俺、息子くんの彼女にあいさつまでしちゃったよ」
Eの事情はわかったが、今度は居候を受け入れている親子のほうにがぜん興味が湧いた。一体どういう状況なんだろう……?
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