東京で「男3人暮らし」する40代の意外な日常

「快」と「楽」に最適化された大人の生活は…

(イラスト:Masami Ushikubo)
『家族無計画』『りこんのこども』などで人気を博するエッセイストの紫原明子さん。この連載でつづるのは、紫原さんが見てきたさまざまな家族の風景と、その記憶の中にある食べ物について。紆余曲折あった、でもどこにでもいる大人たちの過去、現在、そして未来を見つめる物語です。

なぜ男3人で暮らすことに?

「俺さあ、今、男3人で住んでるの。シングルファザーの友達と、その19歳の息子と、3人」

友人Eは、テレビ局に務める42歳。ついこの前まで都内のマンションに1人暮らしだったが、しばらく会わない間に自宅を引き払い、友人父子の暮らす別のマンションに移り住んでいた。でも一体なんでそんなことに? 私が尋ねると、Eはうなだれて言う。

「結婚まで考えてた彼女に振られてさ……。この際、家も家具も全部手放して、リセットしてやろうと思って」

紫原明子さんによる新連載。この連載の一覧はこちら

Eは以前から結婚願望が強く、奥さんと子どもがほしいとことあるごとに口にしていた。実際、Eは小さい子どもからもよく好かれ、経済力だってある。家庭を持てばきっといい父親になるに違いないのだが、いかんせん恋が結婚に発展しないという悩みを抱えていた。年齢的な焦りもあり、Eはついに決意した。

“……神頼みだ!”

誰か腕利きの風水師を探して、最も良縁の望める方角に引っ越すことにしたのだそうだ。ところが、あいにくその腕利きの風水師がなかなか見つからない。引っ越し先は決まらず、一時的に友人父子の家に住まわせてもらうことになった。以上がおおまかなことの成り行きらしい。

「もう2カ月になるんだけど、住んでみるとめちゃくちゃ快適でさ。19歳の息子くんもまたかわいいのよ」

さっきまでとはうって変わって、顔を輝かせながら男3人暮らしのすばらしさを饒舌に語る。

「この前なんか俺、息子くんの彼女にあいさつまでしちゃったよ」

Eの事情はわかったが、今度は居候を受け入れている親子のほうにがぜん興味が湧いた。一体どういう状況なんだろう……?

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