大阪たこ焼き「くれおーる」が紡ぐ商売の本質 タコにこだわらず「TAKOYAKI」世界進出も
そんななか、たこ焼きの未来を考えると、世界にたこ焼き文化を発信するタイミングが来ている、と社長目線で世界戦略を話してくれた。
「欧米人にとって、たこ焼きは鬼門。それは、タコは「デビルフィッシュ」と呼ばれるほど、宗教上の理由で食べられない文化がいまだに根強く残っているから。タコの消費量は日本人が圧倒的に多く、世界での出店を考えた際に定期的に確保するのが極めて難しいんです。
それに、たこ焼きづくりは実は高度な職人芸でもあり、人材の確保も必要です。だから、世界で和食やラーメンのようにたこ焼きが浸透することがこれまでなかったともいえます。
視点を変えれば潜在的な需要は決して小さくない。それは、世界中を廻って感じている“大阪たこ焼き”のポテンシャルでもあります」
エビやチキンで新しい「TAKOYAKI」を世界に
加西社長が現在試行するのは、宗教の壁を取り除くため、タコではなく、エビやチキンで代用した、新しいたこ焼きの形でもある。たこ焼きの発祥1930年代には、もともと機械の中に牛肉などの食材を入れて焼き上げるものだったという。当初は、比較的安かったタコや豚肉などが代用されていたが、現在の原価の高騰も重なり原点回帰の意味も込めて他の食材で活路を見いだしているのだ。
「タコの代用品として考えたとき、味を損なわずに、かつ世界中で広く食べられている食材であるエビを思いついたんです。実際、去年ロンドンやマレーシアのパーティーで出した時におおむね好評だった。それにアメリカではチキンにテリヤキソースの「TAKOYAKI」という選択肢も出てくる。本来、お寿司でも肉や天ぷらを使用したり、カリフォルニアロールといった商品はなかったでしょ。じゃあそれがたこ焼きでもできないはずはないと思っています」(加西社長)
ここ数年は、世界を見越した商品開発にも注力している。
トリュフをふんだんに使用した「トリュフたこ焼き」や、チリソースやペペロンチーノ、だし醤油たこ焼きといった豊富なメニューを生み出し、各種メディアに取り上げられているほか、旅行者のSNSでも評判を呼んでいる。加西社長が、世界での商機を見いだしているもう1つの大きな理由があるという。
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