大阪たこ焼き「くれおーる」が紡ぐ商売の本質

タコにこだわらず「TAKOYAKI」世界進出も

2018年夏の関西は、記録的な台風や水害の影響で、壊滅的な被害を受けた。インバウンド特需に頼りきりだったミナミの景気は冷え込み、各店の月次売上高が前年同月比で50~60%落ちこんだ店も珍しくない。

オカンこと代表取締役会長の加西芙子氏と幸裕氏(写真:株式会社くれおーる)

黒門市場に至っては、90%ダウンのお店まで散見されたほどだ。

だが、くれおーるは昨対比で12%減の88%で踏ん張った。芙子さんに会いに来る常連客、くれおーるのたこ焼きを食べたいという固定客が足しげく通ったことで被害が最小限に抑えられたともいえるだろう。

これは、同社が外国人観光客からの売上だけに頼らず、地道に固定客からの支持を集めたことの証しでもある。

たこ焼き市場のポテンシャル

現在、たこ焼き店を悩ませているのが慢性的な原価高騰だ。10年前は、1kgあたり800円程度だった原材料のタコは、1800円以上に上昇。1人あたり500~1000円前後と決して客単価が高くはない業界において、人件費やテナント費の高騰も合わせて店舗運営を圧迫している。

業界最大手の株式会社ホットランドが運営する「築地銀だこ」は、タコの生産から販売まで一貫して行うサプライチェーンを築き、6次産業化を目指しており、自社製のたこ焼き器の開発も行っている。また、関西で圧倒的な知名度を誇る「たこ家道頓堀くくる」(白ハト食品工業株式会社が運営)も、女性向けたこ焼きを打ち出し、イモたこ焼きの販路を拡大するため、自社でイモの生産まで行い、百貨店では高所得者層へ向けた商品が好評を得ている。

だが、いずれもインバウンド特需をもってしても厳しい状況にあるゆえの打開案であることは否めない。

「銀だこさんですら、東京・恵比寿も含めて撤退しているお店も少なくないですし、(ショッピングセンターの)イオン内フードコートでの売上げに支えられている面が強いでしょう。くくるさんも、アイデアを活かして独自路線での顧客獲得へ注力しています。正直、たこ焼き1セットで700~800円に設定しないと、割に合わない。これは他の企業さんも同じだと思うんですね。

ただ悲しいかな、たこ焼きは潜在意識的に価格帯が決まってしまっている業態でもあるんです。特にウチのような資金力では勝てない企業は、別のアプローチからの手法が肝になる。市場をいかに広げるかというよりは、新しい所でいかに売り上げをつくるかが必要なんです」(幸裕氏)

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