大阪たこ焼き「くれおーる」が紡ぐ商売の本質

タコにこだわらず「TAKOYAKI」世界進出も

大阪でたこ焼き店を展開するくれおーるの代表取締役社長の加西幸裕氏。道頓堀店の前で(写真:株式会社くれおーる)

1日約8000個――。これは、大阪・道頓堀のど真ん中に拠点を置く、株式会社くれおーるの1日あたりのたこ焼き販売量である。

くいだおれの街大阪で、道頓堀界隈はたこ焼き屋が10店舗以上ひしめき合う激戦区。そんな中で、資本力に勝る大手企業を抑え、観光客や地元民に最も愛される店舗の1つになったのが、くれおーるだ。

創業から約20年を経た今、現在10店舗を構え全社売り上げが8億6000万円に達した。東京・渋谷にも進出しており、従業員も130人規模になっている。なかでも、稼ぎ頭の道頓堀店は月商4000万円を超すミナミ有数のモンスター店舗に成長している。

同社代表取締役社長の加西幸裕氏は、国内のたこ焼き業界を取り巻く事情をこう話す。

「たこ焼きという業態について、コンプレックスとジレンマをつねに抱えてきました。創業からずっとです。たこ焼きはテイクアウトや食べ歩きが主で、目的来店という概念がほとんどない。どこまでいっても、たこ焼き屋はたこ焼き屋なんです。それは東京に出店したときも、ここ3年世界中をまわって感じたことでもあります。

だからこそ、大阪のソウルフードであるたこ焼きで、世界を舞台に勝負したいという強い意志を持っています。人件費、原価の高騰で飲食業界が軒並み苦労しているなか、ミナミに至っては地価高騰率が(全国の商業地の中でも)日本一、なんば辺りのテナント料も20%以上上昇しています。そんな逆境だからこそチャンスは広がっており、大阪人魂の見せどころでもあります」

どこまでも泥臭く、創意工夫で業界に風穴を開ける――。近い将来、海外展開も予定しているなか、『TAKOYAKI』で描く、くれおーるの戦略に迫った。

理念に根付くナニワおかんの人脈作り

創業者は、幸裕氏の母である芙子さん。70歳を越えた今も会長として、現場でたこ焼きを焼く日々を過ごしている。幸裕氏曰(いわ)く、「どこにでもいる大阪のオカンです」と笑うが、そのバイタリティが同社のDNAに深く刻まれているのだ。

小さな会社の役員と子育てという二足のわらじを履いていた芙子さんが、大阪の下町・東淡路の住宅街に事務所を構え、たこ焼きを近隣住民に向けて売り始めたのは1999年2月。

淡路での創業時の様子(写真:株式会社くれおーる)

軒下1坪の小さな店舗であったが、凝り性だったこともあって、数カ月後には行列ができるほど近所で評判を呼んだ。

7種類の生地を交ぜて、メリケン粉の量を減らしフワフワ食感をキープするために何百、何千と試作するなど、苦悩を重ねたゆえの結果でもあった。

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