大阪たこ焼き「くれおーる」が紡ぐ商売の本質 タコにこだわらず「TAKOYAKI」世界進出も

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「大阪、ひいては道頓堀が、世界的なブランドイメージの高まりを感じます。私は2025年の大阪万博の誘致にも関わり、道頓堀の持つパワーを痛感しました。こんな食文化の国は世界中のどこにもない。

北京でのイベントに出展したときの様子(写真:株式会社くれおーる)

どこか東南アジアのようなノスタルジックな雰囲気も残し、ギラギラしたネオンとくいだおれの町として、認知されているんです。

実際、シドニーの観光庁から、『道頓堀の町をパッケージとしてシドニーに作ってほしい』というプロジェクトもありますし、他にも世界中から同じようなオファーもいただいています。

私は大阪で生まれ育った、ナニワのたこ焼き屋として誇りを持っている。だからこそ、パッケージとして道頓堀を世界に出す時が来ても、たこ焼きは大きな武器になるし、世界中で親しまれるようになればこれ以上の幸せはない。今「TAKOYAKI」を世界で売り込んでいくタイミングが来たんだと確信を持っているんです」

ナニワのオカンと大阪商人の人情劇

くれおーるという社名には、ラテン語で「創造する」という意味が込められている。たこ焼きの新たな価値を提供したい、と自信に満ちた表情で締めくくった。

わずか1坪の町のたこ焼き屋からスタートしたくれおーるの野望は、地道ながら着実な歩みを見せてきた。それは、人間臭いナニワのオカンと商人たちだからこそ紡げた人情劇でもあるのかもしれない。そして、その物語は間もなく世界の舞台で花開こうとしている。

栗田 シメイ ノンフィクションライター

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くりた しめい / Shimei Kurita

1987年生まれ。広告代理店勤務などを経てフリーランスに。スポーツや経済、事件、海外情勢などを幅広く取材する。『Number』『Sportiva』といった総合スポーツ誌、野球、サッカーなど専門誌のほか、各週刊誌、ビジネス誌を中心に寄稿。著書に『コロナ禍の生き抜く タクシー業界サバイバル』。『甲子園を目指せ! 進学校野球部の飽くなき挑戦』など、構成本も多数。南米・欧州・アジア・中東など世界30カ国以上で取材を重ねている。連絡はkurioka0829@gmail.comまで。

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