仕掛けられた『ジャパン・ラッシュ』の真実(下) 日経平均は1万9000円以上に吊り上げられる?

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デフレになり、ヴォラティリティが徐々に無くなり始めた米欧を尻目に、他に行き場所がなくなった「外国人」たちが一縷の望みをかけているのがわが国におけるこうした自作自演のバブル、すなわち「日本バブル」なのである。本来であればイランの「核問題」に関する7か国協議の「合意」を不服と考えたイスラエルがサウジアラビアを誘ってイランに対して攻撃を加え、これによって「中東大戦争」が12月始まるというシナリオも、米欧の中では、思い描かれていたはずだ。

結果的にこれは先送りされ、少なくとも14年春までは「猶予」が見られるようになっている。ということはそれまでの間、「外国人」たちは出遅れたニッポンのインフレから少しでも利益を得ようと、わが国に殺到するのは目に見えているのだ。――そうこれが今、正に始まった「ジャパン・ラッシュ」の真相なのである。

バブルに酔いしれていると、たたき潰される

しかし表向きはマネーの乱舞する「日本バブル」に酔いしれているかのように見えるガイジンたちの向こう側には、10年越しでわが国、そして私たち日本人を見つめてきた“セファラディ”たちがいることを忘れてはならない。

なぜならば、仮にこの千載一遇のチャンスが持つ「意味」について、私たち日本人が覚醒しなければ、彼らは「PLAN B」へと速やかに移り、2020年、いやそれを待つことなくわが国を叩き潰してしまうに違いないからだ。

これこそが、私が今回、ありったけの声を振り絞るように上梓することにした小著『ジャパン・ラッシュ』でお伝えしたいことなのである。そしてその意味でわが国の現状は「もはや外交どころではない」のであって、真っ先に解くべき課題はいつまでも気づかず、感じず、だからこそ動かない私たち自身の「頭の中」に転がっているのだ。

「問題は私たち日本人が覚醒するか否か。それ以上でもそれ以下でもない。そして答えを出すのは私たち自身だ」

2014年という「日本バブル」の年を迎える直前だからこそ、今、そのことを、声を大にしてここに書いておきたいと思う。――その意味で「最後の審判」はもうすぐそこ、なのだ。

 


 

原田 武夫 原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)代表取締役

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はらだ たけお / Takeo Harada

原田武夫(はらだ・たけお)株式会社原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)代表取締役(CEO)。東京大学法学部在学中に外交官試験に合格、外務公務員Ⅰ種職員として入省。12年間奉職し、アジア大洋州局北東アジア課課長補佐(北朝鮮班長)を最後に自主退職。情報リテラシ―教育を多方面に向けて展開。自ら調査・分析レポートを執筆すると共に、国内大手企業などに対するグローバル人財研修事業を全国で展開。学生を対象に次世代人材の育成を目的とする「グローバル人財プレップ・スクール」を無償で開講。近著に『「日本バブル」の正体~なぜ世界のマネーは日本に向かうのか』(東洋経済新報社)、『インテリジェンスのプロが書く日本経済復活のシナリオ ――「金融立国」という選択肢』(中経出版)。9月に『それでも「日本バブル」は終わらない』(徳間書店)が刊行。12月6日に『ジャパン・ラッシュ――『デフレ縮小化』の中で日本が世界の中心となる』(小社刊)が刊行。 原田氏の話を直接お聞きになりたい方はこちらへ→2014年 年頭記念講演会、東京:1月18日、大阪1月26日

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