そうである以上、わが国の株式マーケットで、私たち日本人の「個人」が目の前の株高を見て半信半疑であり、さらには大量の株式をむしろ売却してしまったとしても致し方ないことなのである。なぜならば日本を仕切るいわゆる「エリート」たちの間であっても、“今”と“これから”に関する認識はそれ程度のものであるのだから。日本の「個人」と「機関投資家」はこぞってわが国へと殺到するガイジンたちをマーケットで間のあたりにしながらも動いてはこなかったのである。
日経平均は1万9000円以上にまで吊り上げられる?
「このままでは非常にまずいと思います。『いつものパターン』が繰り返されてしまいます」
わが国屈指の人口知能(AI)を操るパートナー氏の最近の口癖がこれだ。「平成バブル」とその終焉をマーケットの当事者として目の当りにしてきたパートナー氏には、「これから何が起きるのか」がありありと分かるのである。それは端的に言えば、追い詰められた我が国の「個人」がガイジンたちによって十二分なほど高値に釣り上げられた日本株に在る時から怒涛のごとく押し寄せ、買い占めていく姿である。
何せ11月上旬に平均株価ベースでいうと1万5000円以下で、ガイジンたちは大量の日本株を購入しているのだ。短期であれ、3割は利益を得ることを彼らはターゲットにするのが常であることを考えると、実に1万9000円以上にまで平均株価を釣り上げることを目標にしている可能性がある。無論、それに目のくらんだ「個人」がある時から我先に殺到し始める。
その一方でガイジンたちはといえば、予定どおり高値で次々と売り抜けていく。そして哀れな「個人」が気づいた時には「そして誰もいなくなった」というわけなのである。転売先を失った「個人」の間で激しい殴り合い、化かし合いが行われ、最後は不運な弱者たちが富を奪われて終わる。――そう、あのいつものパターンである。
来年(2014年)1月に行う恒例の年頭記念講演会において、「これから」に関しじっくりとお話をさせていただく際にも繰り返し申し上げたいのだが、私が外務省を飛び出してまでも読者の皆さん、そして全ての同胞・日本人に対して訴えたいのは正にこの点なのである。「皆さん、本当にこのままで良いのですか」ということなのだ。
米欧が行きすぎた「インフレ拡大化」の反動で激しい「デフレ縮小化」へと欧州から順番に追い込まれていく中、遅ればせながらインフレ誘導を、しかも「異次元」とまで言われるレヴェルで始めたのがわが国なのである。しかも財政危機が2015年に頂点を迎えることもわが国でわかっており、政府・日銀は「焼石に水」とわかっていても、自らの公的資金で「官製相場」を演出しつつ、他方で政府保有資産(国有地、政府保有株)を大量かつ高値で売却し、歳入を稼ごうと必死になる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら