「やったことでの後悔は残らない。だが、やらなかったことへの後悔はずっと残る」。どの道も決して平たんではない中、朝倉が常にチャレンジできたのは、「やらずに後悔するくらいなら、チャレンジする」というポリシーのおかげだ。
だからこそ、ミクシィの社長も引き受けた。日本最大級のSNSを運営しているノウハウもある。あふれんばかりの優秀な人材に、潤沢なキャッシュ。「この会社はもっとやれるはず」と思った。
しかし、現実は簡単ではない。改革を進める中では、毎日のように、さまざまなトラブルが起こる。それでも、最終的に決断をするのは自分。最終責任を負うのも自分。誰かに任せて失敗しても、任せる相手を決断したのも自分だ。人のせいにしない生き方で、「まさに日々『決断筋』が鍛えられています」と朝倉は言う。
果敢に積極的な手を打ってきた朝倉だが、口だけでは世間が支持してくれないこともわかっている。「結果を出さないと何を言ってもキレイゴトとして片付けられてしまう。利益が出ていないのなら、何を言っても負け犬の遠吠えだ」
前出のように、今期は赤字見通しだ。結果を出すために、かつての成功体験を否定し、「改革の最大の敵は、従来のミクシィらしさだ」とまで言い切る。改革を進めれば、表面上は歪みが出る。変化についていけない人が脱落する可能性も否定しない。
「モンスト」は、「パズドラ」を超えるのか?
それでも、苦しむ朝倉に、ようやく一筋の光が見え始めた。
11月に入り、同社のゲーム「モンスターストライク(モンスト)」の人気が急拡大。市場ではガンホー・オンライン・エンターテイメントのメガヒットゲームと比較、「第2のパズドラ(パズル&ドラゴンズ)」では?との声も出始めた。モンストは、一人でも直感的に楽しめるし、Bluetoothを使ってその場にいる友達同士で「つながりながら」プレイもできるゲームだ。10月に1064円だった同社の株価は、連日のストップ高。12月になって、ついに5560円(12月5日現在)と、約5倍になった。
モンストは、SNS『mixi』とは直接関係がない。SNSと無関係なこうしたゲームを開発することなど、かつてでは考えられなかった。まさに、「朝倉改革」の一つの成果だ。
とは言え、現状では、ミクシィを取り巻く環境が厳しいことは、朝倉自身が一番よくわかっている。
「ミクシィはこんなもんじゃない。ミクシィの底力を見せて、来期こそは必ず黒字化する」と公開宣言する朝倉。過去の成功に囚われず、後悔しないように全力を尽くす。そんな決断の先に、朝倉とミクシィの未来は開けるだろうか。
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