鎌倉路地奥のイタリアンが評判になった理由 兄はピザ職人、弟はチーズ職人
チーズ作りが終わると仮眠を取り、その後、11時の開店に向けてパン焼きと料理の仕込みを始める。パン焼きまで自分でやらなくてもいいのではないかと言われたこともあるが、「よそで買ってきたパンをお客さんに食べさせたくない」と、すべてを自分たちで作ることにこだわり続けた。横浜市内の牧場へはお父さんが生乳を汲みにいき、チーズ工房の片付けは赤ちゃんを背中に背負った奥さんに手伝ってもらっていた時期もあるという。
そして、開店から閉店までは厨房やホールの作業で、ほぼ立ちっぱなしだった。このような生活は開店10カ月目に厨房を任せるシェフを雇うまで続いた。大志郎さんは、「正直、そのようなコンディションでは、100%の仕事はできませんし、新しいメニューの開発もできませんよね」と当時を振り返る。
その後は、徐々にスタッフが増え、今では社員9人、アルバイト10人の体制にまでなった。1年半ほど前からはピザ作りを習いたいという若手が加わり、健太郎さんは「昔の自分を見るようだ」と目を細める。
そして、1カ月ほど前にはチーズ職人も新たに加わった。熟成チーズ作りの経験者で、現在、フレッシュチーズ作りを大志郎さんと一緒に行っている。逆に今後は、大志郎さんも熟成チーズ作りに挑戦したいと考え、熟成庫を準備している最中だ。
新鮮な出来たてチーズを味わってほしい
イタリアでは当たり前のように生活に根付いているチーズ文化を日本に紹介し、新鮮な出来たてチーズを日本の食卓でも味わってほしいというのが、ベベのコンセプトの1つだ。
大志郎さんは、「イタリアのマンマ(母親)たちは、日本で豆腐を買いに行くような感覚でボウルを持って、ラッテリア(乳製品専門店)にチーズを買いに行きます。日本ではチーズは高級食材と思われがちですが、より身近な存在にしたいです」と、ピザや料理に使うほか、求めやすい値段でチーズの店頭売りを続けている。
一方で、日本でチーズを作るうえではイタリアのチーズがすべて正解ではないともいう。
「イタリアと日本では気候や牛の種類も違います。日本の気候・風土や消費者にあうようにベストを尽くし、日本だからこそ作れるチーズを目指していきたいです」と、本当の意味で日本にチーズ文化を根付かせるようなチーズ作りをしていきたい考えだ。
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