鎌倉路地奥のイタリアンが評判になった理由 兄はピザ職人、弟はチーズ職人

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店名の「ラッテリア」はイタリア語で乳製品専門店、「ベベ」は赤ちゃんのこと。フレッシュチーズの肌触りが赤ちゃんの肌に似ていることから名付けた(筆者撮影)

多くの参詣客でにぎわう鶴岡八幡宮や小町通りの喧騒が続く東口とは対照的に、比較的落ち着いた雰囲気が広がる鎌倉駅西口エリア。最近、じわりと人気が出てきた御成通り商店街から、路地奥に進んだ先にある青屋根の一軒家が、地元で評判の自家製チーズ工房を併設したピッツェリア(ピザレストラン)の「ラッテリア べべ」だ。

ベベはピザ職人で兄の山崎健太郎さんとチーズ職人で弟の大志郎さんの兄弟が2015年4月にオープン。大志郎さんの作るフレッシュチーズは、隔年で行われる国内最大級のチーズコンテスト「Japan Cheese Award」で、2016年にモッツァレラの最優秀部門賞など3つの部門で入賞し、2018年10月の大会でも3部門で入賞した。

普通に考えれば、商売を成り立たせることさえ難しいような立地で人気店に成長した秘密を探るべく、イタリアでの修行や開店後の苦労、チーズ作りにかける思いなどについて、大志郎さんを中心に話を聞いた。

兄は山形からナポリへ

健太郎さん、大志郎さんともに、若い頃はイタリアンを中心に別々の飲食店で働いていた。サーフィンが共通の趣味で気が合い、いつか一緒に店をやりたいねと、漠然とした夢を語り合ったことはあったという。

2人とも30代の半ばになり、「このままでいいのか。料理の世界で活躍していくために何か武器となるものが欲しい」と感じるようになる。

健太郎さんは、もともと興味のあったピザ職人を志すが、当時は、今ほどのピザ人気ではなかったものの、都内の有名店などでは、修行したいという希望者の待ち行列ができており、ピザを焼かせてもらえるまでに、何年かかるのだろうという状態だった。

そこで、ナポリに本部があり、ピザ作りの伝統的な技術を受け継ぐ店を審査・認定する「真のナポリピッツァ協会」の日本支部にコンタクトを取ると、国内では数少ない山形県の認定店で修行させてもらえることになった。

その店は、もともとは家族経営の農家レストランだったが、イタリアでピザの修行を積んだ息子さんが本格的な焼窯をナポリから取り寄せ、ナポリピザ専門店として営業していた。

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