シュガー・ラッシュが年末映画の本命の理由 秀逸なネット世界の描き方

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「続編を作るなら、1作目よりも良いモノでなければならない。でも今回の映画は前作よりもっとパーフェクトなストーリーだし、より感情に訴えかける。それは観客にとってもサプライズなんじゃないかな」と、“前作超え”を意識し、それがうまくいったと語る。「インターネットに入っていくこの映画を、きっとおかしくて、楽しさいっぱいの映画だと思うだろう。でも最後にとても感動的なシーンが待っている。僕は何回も泣いてしまった」(スペンサー氏)。

ネットの世界をどう表現するか、随所に工夫の跡が見られる ©2018 Disney. All Rights Reserved.

ネットの世界をどう表現するか、随所に工夫の跡が見られる。その一つが、「ネットの二面性」の表し方だろう。インターネットは、今までにないコミュニケーションを実現させ、人々を便利にしてきた。その一方で、ネット詐欺や悪意あるウイルスをまき散らすといった危険性を持ち合わせる。

「インターネットはダークサイドもあって。人の不安を食い物にするところがある。特に子どもにとっては危険性がある。だからわたしたちは、インターネットのいい面と悪い面の両方を描く必要があった」(スペンサー氏)

インターネットの二面性をうまく表現

作品の中では、SNSなどによる匿名の辛辣なコメントが相手を傷つけてしまうことまでしっかりと描かれている。その一方で、インターネットが新たなコミュニケーションを生み出す可能性を持つツールであることを示唆している。

また、インターネットの世界をイマジネーション豊かに描き出したそのビジュアルにも驚かされる。マンハッタンやドバイ、上海、そして東京などにインスパイアされたという、カラフルなインターネットの世界には、「Google」「Facebook」「Amazon」「YouTube」「IMDb」「National Geographic」など、有名なネット関連企業のロゴがそこかしこに浮かび上がっている。この都市のプロダクションデザインは、『ズートピア』で動物の都市を描き出したリッチ・ムーア監督ならではのものだ。

都市の描き方に定評があるリッチ・ムーア監督がカラフルなインターネットの世界を表現 ©2018 Disney. All Rights Reserved.

この作品を制作するうえで議論になったのは、登場するIT企業のロゴを実在の企業にするか、それとも架空の企業にするかだったという。結論は、「やはりインターネットは毎日使っているものだから、ユーザーが実際に使っている名前が出てくるほうが親近感が湧くだろう」ということだった。

ただ、実際のロゴが膨大に登場しており、「許可を取るのは大変だったのでは?」と考えてしまうが、「背景として使ったものなんで、ロゴだけを使う分には許諾は必要なかった」(スペンサー氏)と語る。そもそもアメリカにはフェアユースという著作権法の例外規定がある。ロゴとキャラクターとは考え方が違い、ロゴは公平に使っていいが、キャラクターは使用権の許諾をとらないといけない形になっている。

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